気象庁によって「これまでに経験したことのない台風」と称された台風14号が、列島を縦断した。現時点で、宮崎県で2人が亡くなった他、少なくとも130人の怪我が報告されている。近年だけでも、2020年の台風10号や2019年の台風19号など、台風がもたらした被害は数多くある。
こうした中、専門家によって議論されているのが台風の頻発化と強力化だ。国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、台風を含めた強い熱帯低気圧(*1)の割合やピーク時の風速が増加する可能性を指摘しており、日本にとっても懸念すべき事態となっている。
台風の頻発化・強力化をめぐって、どのような議論がおこなわれているのだろうか?
(*1)ただし IPCC の報告書では、熱帯低気圧として記載。北西太平洋(赤道より北、東経180度より西)および南シナ海に存在し、最大風速が約17m/s 以上になった熱帯低気圧を台風と呼ぶ。本記事では便宜上、台風として表記を統一しつつ、必要があれば熱帯低気圧としてカテゴリと共に示す。
台風の大きさと強さ
まず台風の大きさと強さについて、基本的な前提を確認しておく。