日本の原発政策が、大きな転換点を迎えている。政府は22日、関係閣僚や有識者で構成されるGX実行会議を開き、将来的な電源として原子力発電を最大限活用する方針を示した。
2011年の東日本大震災以来、政府は原発再稼働などに慎重な姿勢を貫いてきた。しかし、ウクライナ侵攻にともなうエネルギー安全保障への懸念や、政府を挙げての脱炭素推進を背景に、岸田政権は従来方針からの転換に踏み切った。
どのように転換したのか?
今回の転換のポイントは、大きく2点ある。
新規建設について
まず1つが原発の新規建設についてだ。これまで政府・与党は「原発の新設・建て替えは考えていない」という立場を採ってきた。
しかし、22日の会議では、「将来にわたって原子力を活用するため、建設に取り組む」という方針が明示された。具体的には、すでに廃炉が決まった原発を「次世代革新炉」と呼ばれる改良型原発に置き換え、それ以外の原発の増設についても「検討していく」ことが示された。
運転期間について
2点目は、原発の運転期間についてだ。
現在、原発の運転可能期間は原子炉等規制法によって、使用前検査に合格した日から起算して40年とされ、原子力規制委員会の認可を受けた場合は、1回に限り、最大で20年の延長が認められている。つまり、使用前検査の合格から数えて最大で60年の運転が認められている。
しかし、東日本大震災以後、政府は原発の運転について新規制基準と呼ばれる新たな安全基準を設け、全国の原発はこの基準に沿った審査に合格しなければ運転が認められなくなった。
現在、全国で10の原発が審査を受けているが、最も新しく審査申請を出した島根原発3号機でも審査期間はすでに4年を超えている。したがって、最長で60年の運転が認められているとはいえ、数年単位での審査期間を除くと、実際に運転できる期間は60年よりも短くなる。
そこで政府は、こうした審査期間や裁判所による運転差し止めの司法判断で運転が停止した期間を「60年」に加算しない方針を今回示した。つまり、審査などで10年運転が止まった場合は、最初の使用前検査から70年まで運転が可能となり、実質的な運転期間の延長となる。