⏩ 依然として高い期待の業界、キーマンたちに大型の投資が続く
⏩ マーケットでは逆風、投資家やアナリストに見られるトーンダウン
⏩ AI の「幻滅期」入りは将来的な成功の約束?
ChatGPT が2022年11月に発売されてから、生成 AI ブームが瞬く間に始まった。当初、この技術は第4次産業革命を引き起こし、世界を完全に作り変えてしまうとさえ言われていた。
2023年、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)は AI によって3億人の雇用が失われるか、地位を低下させられると予測し、「AI の普及により、10年間で世界の年間 GDP が7%、つまり約7兆ドル(約100兆円)増加する可能性がある」としていた。
しかし、ChatGPT の登場から21ヶ月が経過したものの、生成 AI はビジネスを大きく変革しているわけではない。現在、週間アクティブユーザーは世界で2億人を超えているが、少なくとも世界を完全に作り変えてはいない。8月、アメリカのシンクタンク・RAND が発表した調査によると、AI プロジェクトの 80% が失敗しており、AI を含まない情報技術プロジェクトの失敗率の2倍だという。
後述するように、2024年9月上旬に起きた Nvidia 株の急落は AI 業界に対する投資家の落胆や不安感を反映している(太字は筆者による、以下同様)。ただ、一部の人々にとって、こうした人気の落ち込みが将来的な成功の証拠として見られていることも事実だ。
なぜ、AI は革命児として持ち上げられ、依然として脚光を浴びつつも、モメンタムを失っているのだろうか。そして、足元の失望は将来的な成功の兆候だという想定は、果たして確からしいのだろうか。
キーマンたちに寄せられる期待
前提として、AI 開発を担うキーマンたちには依然として高い期待が寄せられている。