5月9日、オークションハウス、クリスティーズ・ニューヨークで行われたオークションで、アメリカのポップアートを代表する芸術家、アンディ・ウォーホルの作品が約2億ドル(約250億円)で落札された。
《ショット・セージブルー・マリリン》(Shot Sage Blue Marilyn)と呼ばれる同作品は、シルクスクリーンを用いてキャンバス上に刷られたマリリン・モンローの肖像だ。ウォーホルはこの他にも、マリリン・モンローの顔を用いたシルクスクリーン作品を多数制作している。
今回の落札額は、2017年に取引されたバスキアの絵画《無題》(Untitled)を抜いて、アメリカ人によって制作された作品のなかで史上最高となる。また2015年に落札されたピカソ《アルジェの女たち》を抜いて、20世紀に制作された作品のなかでも最高額となった。
なぜ本作?なぜ今?
では、なぜ本作はこれほどの経済的価値を得るに至ったのだろうか?この問いには、2つの側面から答えることが出来る。
1つは、なぜこの作品なのか?という点だ。今回オークションにかけられた作品には、マリリン・モンローの同じ画像やモナ・リザの転写を用いたシリーズなど、他にも多くの類似作品が存在する。しかし本作には特別な固有性が認められており、ここに作品の価値付けの背景がある。
もう1つは、なぜ今なのか?という点だ。今年のオークションでここまで落札額が高騰した背景には、近年のアートマーケットの拡大と、作品価格の上昇傾向がある。それらはアートマーケットのグローバル化、コレクターの意識の変化など複数要素が関係している。
以上、2つのポイントを順番に見ていこう。
本作の固有性
《ショット・セージブルー・マリリン》は、類似作品と見た目は似ていても、その値段を決定する上で重要な固有性を持っている。それは作品制作の手法と、作品の通称にも関係するある逸話だ。