Monroe photographed arriving at Ciro's nightclub (Dell Publications, Inc. New York, publisher of Modern Screen, Publicdomain) , Illustration by The HEADLINE

アンディ・ウォーホルの《マリリン・モンロー》は、なぜ約250億円で落札されたのか?

公開日 2022年05月18日 18:23,

更新日 2023年09月12日 19:50,

有料記事 / 文化

5月9日、オークションハウス、クリスティーズ・ニューヨークで行われたオークションで、アメリカのポップアートを代表する芸術家、アンディ・ウォーホルの作品が約2億ドル(約250億円)で落札された

《ショット・セージブルー・マリリン》(Shot Sage Blue Marilyn)と呼ばれる同作品は、シルクスクリーンを用いてキャンバス上に刷られたマリリン・モンローの肖像だ。ウォーホルはこの他にも、マリリン・モンローの顔を用いたシルクスクリーン作品を多数制作している。

今回の落札額は、2017年に取引されたバスキアの絵画《無題》(Untitled)を抜いて、アメリカ人によって制作された作品のなかで史上最高となる。また2015年に落札されたピカソ《アルジェの女たち》を抜いて、20世紀に制作された作品のなかでも最高額となった

なぜ本作?なぜ今?

では、なぜ本作はこれほどの経済的価値を得るに至ったのだろうか?この問いには、2つの側面から答えることが出来る。

1つは、なぜこの作品なのか?という点だ。今回オークションにかけられた作品には、マリリン・モンローの同じ画像やモナ・リザの転写を用いたシリーズなど、他にも多くの類似作品が存在する。しかし本作には特別な固有性が認められており、ここに作品の価値付けの背景がある。

もう1つは、なぜ今なのか?という点だ。今年のオークションでここまで落札額が高騰した背景には、近年のアートマーケットの拡大と、作品価格の上昇傾向がある。それらはアートマーケットのグローバル化、コレクターの意識の変化など複数要素が関係している。

以上、2つのポイントを順番に見ていこう。

本作の固有性

《ショット・セージブルー・マリリン》は、類似作品と見た目は似ていても、その値段を決定する上で重要な固有性を持っている。それは作品制作の手法と、作品の通称にも関係するある逸話だ。

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✍🏻 著者
東京大学大学院博士課程
東京大学大学院総合文化研究科所属。日本学術振興会特別研究員。専門はフランスの絵画・建築史。関心領域は、フランスの社会や政治、およびスポーツやアートに関係すること。
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