⏩背景には変異株流行の可能性も
⏩流行が続けば、鶏卵価格が上昇するおそれも
⏩ワクチンの備蓄はあるものの使用は難しい状況
鳥インフルエンザの流行が、過去最悪となっている。1月10日現在、昨年10月からの発生確認件数は23道県で累計56に上り、殺処分対象は約998万羽となった。
養鶏場などで鳥インフルエンザの発生が確認されると、法律に基づいて同じ農場で飼養されている鶏などは原則として全羽殺処分される。そのため各方面への被害は大きい。
一般的に鳥インフルエンザの流行は、春が近づくにつれ終息する傾向にある。しかし、直近の流行はこの法則に当てはまらない可能性も出てきている。
一体この流行はいつ終息するのか。そして、我々の生活にどのような影響が出るのだろうか。
国内の状況
国内ではこれまでに23道県で計56件の発生が確認され、累計998万羽が殺処分の対象となっている。このなかには鶏のほか、牧場で飼育されていたエミューなども含まれる。
現在、流行が確認されているのは病原性の高い「高病原性鳥インフルエンザウィルス」で、鶏での致死率は75%と極めて高い。
鳥インフルエンザにかかった鶏の肉や卵などを食べたことによる人間の感染例は、これまで確認されていない。
しかし、日本では家畜伝染病予防法に基づいて、養鶏場などで鳥インフルエンザの発生が確認されると周辺への拡大を防ぐために、同じ農場で飼養されている鶏などは原則として全羽殺処分される。そのため、鳥インフルエンザにかかった鶏の肉や卵が市場に流通することはない。
なぜ流行が深刻化しているのか?
養鶏場などで鳥インフルエンザが流行する主な原因は、何らかの形で外部から鶏舎内へウィルスが侵入することにある。この侵入経路は様々だが、野生動物による鶏舎への侵入や、鶏舎に入る人間の衣服や靴にウィルスが付着しているケースなどが多い。
また流行の根本的原因であるウィルスは、冬の期間に日本へ飛来する渡り鳥が運んでくるケースが多い。そのため、もともと冬から翌春にかけては鳥インフルエンザが流行しやすい環境にある。
しかし、昨年秋からの流行はこれまでの冬季における流行と比べても大規模なものとなっている。
その背景として指摘されるのが、ウィルスの変異だ。