⏩ 90年代の政策転換でヒグマ頭数が増加
⏩ 農業環境の変化でヒグマが畑周辺に出没
⏩「都会育ち」増加の影響も
⏩「発見しても撃てない」法規制の課題
北海道でヒグマによる被害が拡大している。
5月14日には、道北部・幌加内町の朱鞠内湖で、釣りをしていた男性がヒグマに襲われ死亡した。
家畜が襲われるケースも頻発している。道東部の標茶町や厚岸町では、2019年から特定のヒグマ個体「OSO18」によって、放牧中の牛が襲撃される事件が相次いでいる。昨年までに、少なくとも65頭の牛がOSO18による襲撃をうけた。
背景にあるのはヒグマ頭数の増加だ。道内に生息するヒグマの推定頭数は過去30年で約2倍になった。
しかし、ヒグマによる被害はこれよりも早いペースで拡大している。ヒグマが人を襲う人身被害の件数は増加傾向にないものの、道内の農業被害額は過去10年ほどで約3倍に増加した。
捕獲されるヒグマの数も増加している。畑や住宅地などに出没し、危害を加えるおそれがあるとして駆除された頭数は、過去10年ほどで2倍以上に増加している。
では、なぜそもそもヒグマの頭数は増加したのか。そして、なぜヒグマ被害はかつてより発生しやすくなっているのか。
なぜヒグマの頭数は増えているのか
近年のヒグマ増加の最大の要因とされるのが、1990年代の北海道庁による政策転換だ。