⏩ 花粉の少ないスギ開発などを推進
⏩ 花粉の飛散防止剤の実用化・舌下治療法などの普及も課題
⏩ ただし閣僚会合設置、首相の「言い間違え」か
政府が、花粉症対策のギアを急速に高めている。4月14日、政府は「花粉症に関する関係閣僚会合」を設置した。岸田首相は花粉症について「我が国の社会問題」と指摘し、30年後の花粉発生量の半減を目指す政府対策案も示された。
政府の動きの背景には、花粉症被害の深刻化がある。
1万人以上を対象とした調査によると、花粉症の有病率は2019年時点で42.5%にも上る。この有病率は、19.6%(1998年)、29.8%(2008年)と年々増加しており、いまや国民の4割が花粉症に悩まされている計算だ。
花粉症有病率の増加は、社会にもさまざまな影響を与えている。花粉症を含むアレルギー性鼻炎の医療費(保険診療分)は約3,600億円にも上る。また、花粉症による生産性の低下も懸念される。パナソニックが2019年に行った調査では、花粉症にともなう労働力低下による経済損失は1日あたり約2,215億円とも試算されている。
では、なぜ花粉症の被害は深刻化しているのか。そして、政府はどのような対策をとろうとしているのだろうか。
なぜ花粉症被害は、深刻になっているのか
花粉症のなかでも、多くの人を悩ませているのがスギ花粉症だ。2019年の調査では、スギ花粉症の有病率は38.8%とされ、20年前と比べて2倍以上に増加している。