⏩ パリ協定は、産業革命前と比べて気温上昇を2℃未満に抑える目標
⏩ 世界の平均気温が2℃上がると、陸上の気温はそれ以上に上昇
⏩ 東京では4℃、北極では8℃の気温上昇も
2023年8月8日、EUの地球観測当局・コペルニクスプログラムは、2023年7月が「世界史上、最も暑い月」になったと発表した。
同プログラムによると、2023年7月の世界の平均気温は16.95℃で、これまでの「最も暑い月」だった2019年7月(16.63℃)を0.32℃上回った。さらに、産業革命以前の平均気温と比べると、7月としては史上初めて、約1.5℃の気温上昇を記録した。
この「1.5℃」という数字に注目が集まるの理由は、2015年に採択されたパリ協定にある。パリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることに各国が同意した。つまり、2023年7月の気温上昇は、パリ協定で認められている「限界値」なのだ。
このパリ協定の目標は「2℃目標」あるいは「1.5℃目標」と呼ばれ、気候変動対策における重要なベンチマークとなっている。
だが、正直なところ「世界の平均気温が2℃上昇する」と言っても、その深刻さは分かりづらい。たとえば、冷房の温度設定を25℃から27℃に変えたとしても、我々の日常生活に大きな支障は出ないように思える。
しかし同じ2℃でも、冷房の温度設定と世界の平均気温ではその意味合いが大きく異なる。一体なぜなのだろうか?
「世界の平均気温」とは何なのか
まず重要なのは、「世界の平均気温」の意味だ。