⏩ 2010~2024年生まれで、誕生年にちなんで iPad Kids とも呼ばれる
⏩ 人口は20億人を超え史上最大の世代になると予測
⏩ 環境問題への意識の高さから注目
⏩ すでにα世代向けのマーケティング戦略も展開
2024年は、α(アルファ)世代が生まれる最後の年だ。
2010年以降に生まれた子どもたちは、自分の祖父母よりも Alexa などのスマートスピーカーと頻繁に会話しているという。彼らの中にはZ世代の使うスラングが面白くない、あるいは「まだそんな絵文字を使っているの?」と話す者もいる。
一方で、政治や社会問題に対する意識の高さや、経済的な影響力のポテンシャルの高さから大きな注目を集める存在にもなっている。α世代向けのマーケティング戦略もすでに議論され始めているほどだ。
α世代とはどういう世代で、なぜ注目を集めているのだろうか。
α(アルファ)世代とは何か
α世代(Gen Alpha)とは、オーストラリアの社会評論家であるマーク・マクリンドル氏によって2005年に作られた言葉で、2010年から2024年に生まれた世代を指す(*1)。すなわち、今年は最後のα世代が生まれる年だ。
2010年は、Apple が最初の iPad を発表した年であることから、α世代は iPad Kids と呼ばれる。ホバーボードの取り扱いに長けていることから、ホバーボード・キッズと呼ばれることもある。
α世代は、X世代(1965年頃から1980年頃に生まれた世代)、Y世代(1980年頃から1995年頃に生まれ、ミレニアル世代とも呼ばれる)、Z世代(1995年頃から2010年頃に生まれた世代)に続く世代で、マクリンドル氏は名前の由来について気象学者からヒントを得たと語っている。
気象学者たちは毎年、ハリケーンの名前をアルファベット順に付ける(*2)が、2005年はハリケーンの数がアルファベットの数を超えたため、次の名前をギリシャ語のアルファベットからとった。したがってマクリンドル氏も、Z世代の次の世代を名付けるうえで、以下のようにギリシャ語のアルファベットを使うことが「理にかなっている」と考えたのだ(太字は引用者による)。
Aに戻るのは理にかなっていません。結局のところ、彼らは完全に21世紀に生まれた最初の世代なので、その意味で彼らは何か新しいことの始まりであり、古いものへの回帰ではありません。
α世代は、世界で毎週約280万人が生まれているとされ、全員が誕生し終わった2025年には約20億人となり、史上最大の世代になると見込まれている。世界で最も多くのα世代が生まれる国は、インド、中国、ナイジェリアだという。
マクリンドル氏によれば、α世代は、史上最も物質的に恵まれ、最もテクノロジーに精通し、前のどの世代よりも長い寿命を享受する世代だ。α世代がZ世代と大きく異なる点は、親の世代が違うことだとされている。すなわち、Z世代の多くがX世代に育てられているのに対し、α世代の多くはY(ミレニアル)世代が親になっている。したがってα世代は、ソーシャルメディアのヘビーユーザーたちが親になる史上初めての世代とも言えるのだ。
このように、α世代は史上最もテクノロジーに親和的な世代だと特徴づけられており、そのことが彼らに注目が集まる理由を形成している。
(*1)α世代は、2013年以降に生まれた世代とする見解もあるが、本記事ではマクリンドル氏にしたがって、2010年から2024年に生まれた世代をα世代として扱う。
(*2)正確には、毎年21個の名前が事前にリスト化されており、ハリケーンが発生するごとにリストの上から順番に名前をあてていくので、発生するごとに名前を考えているわけではない。