⏩ 全世界の若年性がんの発症数が過去30年で約80%増加
⏩ 医学界でも急速な注目、原因を探る研究成果の現状は?
⏩ 子どもにがんをどう伝えるかが今後の論点の1つに
2024年3月22日(現地時間)、イギリス王室のキャサリン皇太子妃(42歳)が、がんの診断を受け、治療の初期段階にあることを公表した。
皇太子夫妻の公務を管理するケンジントン宮殿は、がんの種類や段階(ステージ)などを明かさなかったが、キャサリン皇太子妃は全快するだろうと述べている。
一般にがんと聞けば、およそ50から60歳を超えた人々が直面する病気のように思えるかもしれない。しかし現在、キャサリン皇太子妃のように、50歳以下でがんを発症する人が世界的に増加している。2020年には、映画『ブラックパンサー』などで主演をつとめた俳優チャドウィック・ボーズマンが、4年にわたるがん闘病の末に亡くなった。43歳だった。
なぜ世界では、比較的若い年齢でがんを発症する人が増加しているのだろうか。
急増している若年性がん
若年性がんとは、多くの場合、50歳未満の成人が発症するがんと定義される(*1)。現在、若年性がんが世界で広がっていることが、複数の研究で示唆されている。