⏩ アメリカが持つ抑止力を日本に提供
⏩ 2007年に初めて共同文書で言及、その後民主・自民政権が一貫して支持
⏩ トランプ氏、ハリス氏いずれが大統領に当選しても不確実性あり
2024年7月28日、日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)が開催され、両国は米国が核を含む戦力で日本を守る体制強化を進めることで合意した。両政府は、拡大抑止に特化した初の閣僚級会合も開いた。今回の発表は、4月におこなわれた日米首脳会談を受けてのものだ。
会合に参加した両国の外務・防衛担当閣僚。左からロイド・オースティン国防長官、アントニー・ブリンケン国務長官、上川陽子外務大臣、木原稔防衛大臣(Ministry of Foreign Affairs of Japan, CC BY 4.0)
今回の 2+2 会合では、在日米軍の司令部を刷新することが発表された。具体的には、作戦指揮権を持つ統合軍司令部を在日米軍の中に新設する。
これまで、日本に駐留する約5万5,000人の人員に対する作戦指揮は、約6,200km 離れたハワイの米インド太平洋軍が担っていたが、横田基地に新設される司令部がその一部を引き継ぐ(*1)。
新しい司令部は、2024年度末に自衛隊が市ヶ谷に新設する予定の統合作戦司令部(仮称)との調整役として、期待されている。日米の指揮系統が統合されるわけではないが、「両軍がシームレスに連携して活動すること」が目標だと当局者は述べている(太字は引用者による、以下同様)。
司令部を新設する動きは、「歴史的」とも報じられているが、拡大抑止に関する議論は、両国の間でこれまでも交わされてきた。拡大抑止とはそもそも何で、なぜ今回の動きが歴史的と言われるのだろうか。
(*1)とはいえ、司令官の階級は中将とされているため、実質的な権限をインド太平洋軍が維持する可能性もあると言われている。