⏩ 小泉進次郎氏と河野太郎氏が規制の見直し検討を表明
⏩ 「クビ切り自由化」は大きな誤解?
⏩ 根本の問題は法律ではなく雇用システムとも
自民党総裁選挙でにわかに浮上している争点が、解雇規制の見直しだ。これは、小泉進次郎氏が同選挙戦の中で打ち出した政策であり、河野太郎氏も意欲を示している。
小泉氏は、出馬発表会見の中で「聖域なき規制改革」を掲げ、「賃上げ、人手不足、正規・非正規格差を同時に解決するため、労働市場改革の本丸、解雇規制を見直します」と発言した(太字は筆者による、以下同様)。
こうした政策方針については、「クビ切りの自由化」が横行する、あるいは育児・介護などを抱えた社員は真っ先に解雇されるといった批判の声が聞かれる。
後述するように、小泉氏の政策をめぐっては誤解が蔓延している。そのうえ、小泉氏と河野氏の政策について、新興メディア・PIVOT に出演した昭和女子大学の八代尚宏名誉教授は、「(両者の主張は)同じ」と発言しているが、厳密に言えば両氏は別のポイントにメスを入れようとしており、その意味で違いがある。
また、本議論に伴って、日本の解雇規制が厳しいとする言説も見られる。たとえば、9月18日の BSテレ東・NIKKEI NEWS NEXT では「日本は(解雇規制が)厳しいと言われています」と紹介されている。
では、そもそも解雇規制やその見直しとは何を意味しているのだろうか。そして、日本の解雇規制は本当に厳しいのだろうか。