若者が報われないと「高齢者も苦しむ」、議論の先送りは「与野党の共謀共同正犯」 = 国民民主党・玉木代表、単独インタビュー

公開日 2024年11月08日 16:11,

更新日 2024年11月14日 15:33,

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この記事のまとめ
[全文無料] The HEADLINE 編集長・石田健が J-WAVE「JAM THE PLANET」で国民民主党・玉木雄一郎代表にインタビュー

⏩ 日本が年収の壁の議論を先送りにしてきた理由
⏩ 玉木氏は今の政局をどう見ている?
⏩ 今回の選挙で得た教訓と未来のビジョンとは?

今月06日、本誌編集長・石田健がナビゲーターを務めるラジオ番組 J-WAVE「JAM THE PLANET」(月曜日〜木曜日 19:00〜21:45)が放送された。いま注目すべきニュース&トピックスを掘り下げるコーナー TODAY’S SPECIAL には、現在の政治のキーマンとなっている国民民主党・玉木雄一郎代表が、電話で生出演。 国民が何を求め、日本が抱える課題が何かを単独インタビューした。以下、全文書き起こし。


石田健(以下、石田):J-WAVE「JAM THE PLANET」。水曜7時台は石田健がお届けしています。ここからは注目すべきニュース&トピックを掘り下げていく TODAY’S SPECIAL。

衆議院選挙から1週間が経過しました。与党過半数割れという結果を受けて、これから政治のあり方がどう変わっていくのかが、連日議論をされています。中でも、キーマンとして目されているのが国民民主党です。年収の壁問題をはじめとして、様々な政策議論が今持ち上がっています。

今回は、その国民民主党が政策に限らず、我々の社会の何が課題だと捉え、そしてどこに向かっていくべきだと考えているのかという大きなビジョン、そういったところを考えていきたいなと思っています。

そこで、選挙で議席を大きく伸ばして注目が集まる国民民主党から、代表の玉木雄一郎さんをお迎えして、国民が今何を求めているのか、日本が抱える課題とは何かについてお話をお伺いしたいと思います。

玉木さん、初めまして石田です。よろしくお願いいたします。

玉木雄一郎(以下、玉木):はい、よろしくお願いします。玉木です。

国民は「生活に困っている」

石田:ありがとうございます。

まずお聞きしたいのは、多くのメディア、あるいは政党が裏金問題を選挙のアジェンダとして指摘している中、国民民主党は一貫して政策の重要性を訴えてきたかと思います。

この主張が非常に支持を集めた選挙結果だったと言うこともできるかと思いますが、人々が今政治に求めることは、一体どんなことだと受け取っていらっしゃいますでしょうか?

玉木:生活に困ってるんですよ。今回、ご支持をいただいて議席を4倍に増やすことができましたけれども、まず手取りを増やす経済政策ということを明確に打ち出したということが、1つ特徴的だったと思います。今は、民間の努力で確かに賃金は上がってきていますけれども、ただ税負担や社会保険料負担が高くて、結局手取りが増えないと。

そういう声を実際たくさん聞きましたし、ここを何とかしないとですね、いくら賃上げ賃上げとやっても、手取りが増えないと消費も拡大しませんし、消費が元気にならないと企業もいいものを作っても売れませんから。業績も上がらなくて、次の来年の賃上げの原資が出てこないということで、いわゆる好循環が切れてるわけですね。

ここを何とか繋ぎたいということで、その努力が報われるようにするという意味で、手取りを増やそうということを訴えたのが、ひとつ響いたのかなと。

若者や現役世代をしっかり支えていこう

玉木:もう1つは、明確に若者や現役世代をしっかり支えていこうというメッセージを出しました。もちろん我々も高齢者福祉を軽視するものではないですけれども、与党も野党もどちらかと言うと、選挙になると高齢者向け政策を前面に出すという政治が、何十年も続いてきました。

人口がさらに減っていく中で、若い人が元気にならないと、今の社会保障制度というのは世代間の支えになってますから、現役世代が元気にならないと結局支える力がなくなって、高齢者も困ってしまうと。

そこで、少し高齢者の皆さんからは「何だ」と言われるようなご批判もいただきましたけれども、明確に現役世代・若者重視ということを訴えたのもですね、メッセージが明確だったのかなという風に思います。

「とにかく給料を上げよう」という政策

石田:なるほど。そうした、社会あるいは特に現役世代が求める声に応えて、(YouTubeの)たまきチャンネルでも、4つの経済政策ということを説明されていたかと思いますが、改めてどんな政策を実現させていきたいかをご確認させてください。

玉木:はい。30年、日本は賃金の上がらない国になってしまったので、ちゃんと働けば、頑張って就職して真面目に働けば、ちゃんと給料が上がる、望めば結婚も子どもを持つこともできるという、当たり前の幸せをきちんと手に入れることができる社会を取り戻そうというのが、私たちの極めてシンプルで明確な社会像だったんですね。

とにかく給料を上げようということで。ちょっと難しく言うとその実質賃金がですね、物価上昇+2%ぐらいの名目賃金上昇率になって、物価がたとえば2.5%だったら4.5%ぐらいの賃上げが安定的に続くような経済政策をやろう、ということをこれまでやってきて、ようやく実質賃金はプラスになってきました。

ただ今年で言うと、6月・7月はプラスだったんですけれど、ボーナスの影響が無くなると、また8月はマイナスになっているんですね。

石田:そうですね。

玉木:だから、この辺をちゃんと下支えするような政策をやっていこうということと、あと冒頭で申し上げた通り、結局賃金を上げるのは民間の努力なんですけれど、そこから税と保険料を取ったら手取りが増えないので、逆に今度は、いかに税負担を抑えて社会保険料負担を抑えて手取りを増やすのは、これは政治の努力だと思うんですね。

「そこをしっかりやっていきます。やっていきましょう」ということを訴えたというのが、今回の国民民主党の政策の柱です。

議論の先送り、与野党の「共謀共同正犯」

石田:ありがとうございます。まさにその年収の壁あるいは社会保障改革、非常に長い間言われてきた課題でもあったかと思います。改めてなぜ、これまでの日本がこうした問題を先送りにしてきたのでしょうか?

玉木:次の選挙のことばかり考えて、次の世代のことを考えてこなかったからだと思います。与党も野党も。これは、与党と野党の共謀共同正犯だと私は言っています。

もちろん、バッジをつけないと政治家は仕事をできませんから、選挙のことを考えるし、人口が多いのは高齢者ですし、投票率も高いですからね。

そちらを向くのはもう仕方がないんですけれど、ただ、それに与野党が走るあまり、次の世代、特に現役世代・若者を軽視してきたというか、端的に言うと、彼らの社会保険料負担にあらゆる負担も全部乗せていくということをやってきたわけですね。

だからこういう構造自体を変えていかないと、この国で頑張る若者が報われない、と。結果として、賃金も上がらなければ成長もしないと、高齢者の方も非常に苦しんでしまうという悪循環をどこかで断ち切りたいということで、現役世代・若者に対するメッセージを明確に出したというのが、今回の我々の政策です。

選挙結果は「世界的にも珍しい傾向」

石田:一方、これは、やもすれば世代間対立とか、あるいはシルバーデモクラシーというような言説に繋がってしまうかとも思います。双方の利益を実現するのは簡単ではないと思いますが、何がポイントになってくるんでしょうか?

玉木:しっかり、やはり語ることだと思います。私が今回、世界的にも珍しい傾向だと思ったのは、今もアメリカ大統領選挙はほぼトランプさんに固まりましたけれど、やはり極端なことを言わないとなかなか票が取れない、人気が取れないという風潮はアメリカでもヨーロッパでも、そして日本でも一部見られます。

我々は野党でありながら「対決より解決」「改革中道」ということを結党以来訴えてきました。対決型ではないよと。時には、与党とも協議・協力もしながら政策を実現していくという、この立ち位置を正面から訴えて議席を与えていただいた。4倍にしていただいたというのは、私は今の対立型の政治が蔓延する中では、極めて珍しいことだと思っていますし、それだけ有権者はよく見てくれているんだと思いました。

だから、政治家は恐れず、ポピュリズムに走らず、きちんと真実を語っていくということを改めてやるべきだと思うし、やらなければいけないな、ということを今回の選挙結果が教えてくれたように思っています。

高齢者に「不都合な真実でもきちんと正直に語る」

石田:そのメッセージが非常に重いなと感じますが、同時にやはり社会保障の部分だと、「我々の利益が削られるんじゃないか。我々の生活が苦しくなってしまうんじゃないか」と直感的に感じてしまう人もいるかもしれない。そういった方たちに、どんな言葉をどんなメッセージを投げかけて語っていくのでしょうか?

玉木:本当にちゃんと、「あなたのためですよ」という話は、高齢者の皆さんにも直接させていただきました。

今回我々の公約でも、たとえば後期高齢者医療制度の窓口負担は原則1割なんですけれど、ちょっと申し訳ないですけれど、現役並みの所得や資産のある方については、3割負担を現役と同じようにお願いをします、と。そうしないと、やはり皆さんの子や孫の世代に大きな負担が行くので、ご負担できる方についてお願いできませんか、ということも正面から訴えました。

そのことに対して、もちろん反発する方もいらっしゃいましたけれども、「それはわかった」と言って賛同いただく方も多かったので、やはり現状を包み隠さず話して、不都合な真実でもきちんと正直に語ることだと思うんですね。

今回、政治と金の問題というのは不記載の問題ということなんですけれども、ただある意味、真実を隠すということの典型じゃないですか。

何に使ったかわからない、誰に渡したかわからない、それを全部秘匿する、隠す、真実を言わない、と。そういうところに対する不信感が高まっている中で、きちんと真実を語るということが、私は非常に大事だと思いましたし、そのことを求めている国民や有権者が多いなと感じました。

石田:この後も引き続き、国民が今何を求めているのか、日本が何の課題を抱えているのかというところを伺っていきたいと思います。

(本インタビューの後編は、1週間後に掲載予定です)

【番組情報】
放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:JAM THE PLANET
放送日時:11月6日(水)19:00~21:45
ナビゲーター:石田健(水・木/19 時台)
番組サイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheplanet/
番組X:https://x.com/jwavejam
番組Instagram:https://www.instagram.com/jamtheplanet/

(*)本記事は、J-WAVE および国民民主党からの許諾を得たうえで、公開されております。

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✍🏻 著者
編集長 / 早稲田大学招聘講師
1989年東京都生まれ。2015年、起業した会社を東証一部上場企業に売却後、2020年に本誌立ち上げ。早稲田大学政治学研究科 修士課程修了(政治学)。日テレ系『DayDay.』火曜日コメンテーターの他、『スッキリ』(月曜日)、Abema TV『ABEMAヒルズ』、現代ビジネス、TBS系『サンデー・ジャポン』などでもニュース解説。関心領域は、メディアや政治思想、近代東アジアなど。
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