「誰とやるかより何を成し遂げるか」、宇宙産業には「可能性」 = 国民民主党・玉木代表、単独インタビュー後編

公開日 2024年11月14日 15:24,

更新日 2024年11月14日 15:33,

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この記事のまとめ
[全文無料] The HEADLINE 編集長・石田健が J-WAVE「JAM THE PLANET」で国民民主党・玉木雄一郎代表にインタビュー(後編)

⏩ 日本の経済成長に対する見方と期待する産業
⏩ 玉木氏は今の政局をどう見ている?
⏩ 民主主義のあり方と未来のビジョンとは?

今月06日、本誌編集長・石田健がナビゲーターを務めるラジオ番組 J-WAVE「JAM THE PLANET」(月曜日〜木曜日 19:00〜21:45)が放送された。いま注目すべきニュース&トピックスを掘り下げるコーナー TODAY’S SPECIAL には、現在の政治のキーマンとなっている国民民主党・玉木雄一郎代表が、電話で生出演。 国民が何を求め、日本が抱える課題が何かを単独インタビューした。前半では年収の壁や、その議論が先送りにされてきた理由について玉木代表の考えを伺った。後半ではさらに、日本の経済成長に向けた考え方から、今の政局、そして未来のビジョンについて話が展開された。以下、全文書き起こし。

 

石田健(以下、石田):「JAM THE PLANET」TODAY’S SPECIAL。今夜は、国民民主党代表の玉木雄一郎さんをお迎えして、国民が今何を求めているのか、日本が抱える課題についてお話をお伺いしています。引き続きよろしくお願いします。

玉木雄一郎(以下、玉木):はい、お願いします。

成長分野は「国が言い出した時には時代遅れ」

石田:前半で、手取りを増やすという点について、選挙中あるいは最近のインタビューでも、税・社会保障の議論を中心にお伺いしてきました。

一方で、日本はなかなか経済成長してないという国でもあると思います。玉木さんは、どんな産業あるいはどんな分野に、これから経済成長の余地があるとお考えですか?

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玉木:私はよく「これから半導体ですよ」とか「エネルギーの分野ですよ」ということを国が言わない方がいいと思っているんです。

私も役人で働いていたんですが、商売をやったことがないので。大体、国が「この分野だ」って言い始める時には時代遅れになっているんですよ。たとえば投資を促進するにしても、国が直接「半導体です」とか「エネルギー産業です」と言って直接(リソースを)入れるのではなく、どこに投資するべきかなどについては、基本的に民間が決めるべきだと思います。

そのかわり、たとえばこの分野に民間が10億円投資します、100億円投資しますと決めたら、その1.5倍にあたる150億円までは償却を認める、減税をするというような形で、投資を促していく。そういった(民間の)決断を、後ろからしっかり下支えするような政策を(国が)することが適切だと思っていて、「こっちの分野からこれだ」みたいなことは、あまり国は言わない方がいいと思っています。

「宇宙産業には可能性を感じる」

玉木:ただ、その中であえて私が言うとしたら、やはり宇宙産業だと思います。日本の場合は、特にトヨタさんをはじめ、自動車産業というのは長い伝統と歴史があるんですが、(それらは)基本的に内燃機関なんですね。

石田:そうですね。

玉木:それが EV になってくると、今までの内燃機関を中心とした技術がひょっとしたら全て失われてしまうかもしれない。その技術を、最高の内燃機関であるロケット(に集中させること)ですよね。

ジェット燃料も含めてロケット開発や宇宙開発の分野に、今まで日本が自動車産業で得意だった技術あるいは人材を上手くシフトさせていけば、ものすごい発展の余地があるなと思っています。

宇宙産業はやはり、イーロン・マスクさんなどがやっていますけれども、ある程度国と民間が連携してやっていく分野ではあると思うので、宇宙産業の分野はぜひ日本は伸ばしていくべきだし、発展の余地がすごくあると考えています。

石田:今のお話で言うと、たとえばアメリカがワイズ・スペンディングの中で、クリーン・エネルギーや人的投資など、いくつか(注力する産業分野を)実際にあげています。あるいは、デジタルといった今後世界的にも伸びていく分野に日本も当然追いつくべきだ、(その波に)乗っていくべきだという考え方が前提かと思います。この点については、そのような理解でよいでしょうか?

玉木:いいと思いますが、その一義的な判断は常に民間がすべきだと思います。役所がああだこうだ言うと大体失敗しますから。商売をやったことがない人が大量の金を使い始めると、金貸して宿屋をやってしまうので、大体失敗してしまうんですよね。

だから、基本的には官民が連携してやっていくことが必要なんですけれども、投資の判断とかマーケットで「これが一番いいんだ」という判断は、基本的には常にマーケットにいる人が判断すべきだと。それを(国が)いかに上手く背中から押していけるかということが、大事だと思います。

宙ぶらりん国会、「プラスに捉えている」

石田:今、ハング・パーラメントという状態になり、政策本位に議論が進むというのは、まさに今まで(国民民主党が)訴えてきた方向に向かっていると思います。

ただ同時に、10年間にわたり与党一強の状態を経験し、お上がこっちだと言ったらその方向に向かうといった社会に慣れた人からすると、「ちょっと政局が不安定化したら、将来不安だな。政治はどうなってしまうんだろう」と思うかもしれません。そういった方々にはどのようなメッセージを届けていくのでしょうか?

玉木:これが民主主義だし、これが国民が選んだ姿なんですよ。今回のような宙ぶらりん国会、ハング・パーラメントという状況になったということは、私はプラスに捉えています。

与党からしたら非常に難しい状況になりますが、逆に国民民主党含めた野党の意見も丁寧に聞きなさいという(国民の)メッセージだし、野党の側としても、与党が過半数を割っているから邪魔をして法案の成立を妨げたり、予算の成立を妨げたりするようなことになれば、またそういった野党のあり方にもやはり民意は反発すると思います。

だから、野党も新たな責任を負ったという自覚の中で、建設的な議論や政策提案をやっていくという、新しい政策決定のルール作りをおこなっていかなければいけない。今、その過渡期に入ったと思うんですね。

石田:はい。まさにそういった過渡期の中で、やや意地悪な見方をした場合、「今、国民民主党がキャスティング・ボートを握っている。だから、政策や政局を止めているのは彼らなのではないか」という声が、もし与党などからあがってきた場合、玉木さんはどのように応答しますか?

玉木:止めているようでも、我々が一番進めていると答えます。

先ほど言ったように、止めているように見られると我々も支持を失います。その中で、自公だけでは表現できない民意をしっかりと実現していくこと、そしてそれを単に「反対反対」だけではなく、「こういう政策やこういう思いを実現しましょう」という建設的な提案ができるかどうかにかかっているし、そこを有権者はよく見ていると思いますね。

「誰とやるかよりも何を成し遂げるか」

玉木:だから、私が今申し上げているのは、「自民党とどうするんだ。立憲民主党とどうするんだ」と言われますけれども、誰とやるかよりも何を成し遂げるかということの方が大切になってきて、そういう政治に変わってきているんだと思います。

石田:なるほど。政策の議論がよりクリアになればなるほど、その政策に反対するとか納得できないという人の声も出てくるかもしれません。まさにアメリカの大統領選挙でもそういう局面かと感じます。そうした異なる意見を持つ人々にどんな声をかけていかれますか?

玉木:そこは、丁寧に色んな議論をおこない声を聞くという、熟議、丁寧な合意形成をしていくということが大事だと思います。

民主主義は、ある意味、手間がかかって時に面倒くさいと思われるプロセスかもしれませんが、そのプロセスこそが民主主義の最も重要な要素です。過半数を取ったら、その選挙が終わった時点で、ある種全ての法案は通ることになるんですけれど、それを今回は許さなかったわけですね。

だから、一つ一つの政策ごとに過半数の賛成を得られるような合意形成をしていくことが、与党にも野党にも求められるし、そういった丁寧な議論をおこなう新しい政治文化や、新しいお作法をこれから作っていくことが大事だと思います。

来夏の参院選「しっかりと候補者立てる」

石田:最後に一つだけお伺いさせてください。また夏にも選挙があるかと思います。

もちろん、政策重視・政策本位で個別の議論を牽引していくという方向もあるかと思いますが、党勢や議席数をもっと拡大していけば、もっとダイナミックに変えられる、といった考え方もあると思います。

玉木さん自身の未来のビジョン、今後のビジョンについてお伺いさせてください。

玉木:もちろん、その通りです。そうは言っても、まだ我々は28議席ですから、夏の参議院選挙ではしっかりと候補者を立てて、そして今私が申し上げてるような考え方や政策を実現できる仲間を増やしていきたいと思います。

やはり政策を実現して、野党でも、あるいは国民民主党に1票入れたら、具体的に変わったという実感をぜひ持っていただきたいと思うんですね。選挙に行っても、1票入れても変わらないということを、何十年も国民に思わせ続けてきたことが、低投票率の原因にもなっているし、政治に対する無関心を生んだと思います。

選挙に行ったら意味があると(有権者に)感じていただくことが、投票率を上げる一番の術だと思うし、政治参加を促す方法だと思います。なので、今回選挙で訴えたこと、特に103万円の壁を引き上げていくということについては、ぜひ実現していきたいと思っています。

石田:わかりました。ありがとうございました。

玉木:はい。ありがとうございました。

石田:今夜の TODAY’S SPECIAL。国民民主党代表の玉木雄一郎さんをお迎えして、国民が今何を求めているのか、日本が抱える課題についてお伺いしました。玉木さんありがとうございました。

【番組情報】
放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:JAM THE PLANET
放送日時:11月6日(水)19:00~21:45
ナビゲーター:石田健(水・木/19 時台)
番組サイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheplanet/
番組X:https://x.com/jwavejam
番組Instagram:https://www.instagram.com/jamtheplanet/

(*)本記事は、J-WAVE および国民民主党からの許諾を得たうえで、公開されております。

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✍🏻 著者
編集長 / 早稲田大学招聘講師
1989年東京都生まれ。2015年、起業した会社を東証一部上場企業に売却後、2020年に本誌立ち上げ。早稲田大学政治学研究科 修士課程修了(政治学)。日テレ系『DayDay.』火曜日コメンテーターの他、『スッキリ』(月曜日)、Abema TV『ABEMAヒルズ』、現代ビジネス、TBS系『サンデー・ジャポン』などでもニュース解説。関心領域は、メディアや政治思想、近代東アジアなど。
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