コロナ禍が拡大した2020年秋頃から、半導体不足が世界規模で続いてきた。
以前の記事では、その原因としてコロナ禍による需給バランスの変化とサプライチェーンの混乱が挙げられ、急速な増産も難しいことから、製品不足や消費者価格の上昇につながっていることを指摘した。また各国が、経済安全保障を念頭に置きながら半導体の安定的な確保を目指していることも述べた。
そこから約半年が経過した現在、半導体不足はどうなったのだろうか?また、どのような影響が出ているのだろうか?
加速する半導体不足による影響
結論から述べると、2021年11月現在も半導体不足は続いている。
受注から納品までの時間(リードタイム)は20時間を超えており、3月における15.8時間と比べて不足に拍車がかかっている状態だ。TSMC・Intel・IBMらの大手半導体各社は、状況改善が困難であり、今後数年間は需要に追いつけないとの見解を示している。
長引く半導体不足は、どのような影響を及ぼしているのだろうか?
製品不足
まず最初に挙げられる大きな影響は、製品不足だ。半導体不足は、当初から減産が見込まれていた自動車業界だけでなく、スマホやパソコン、ゲーム機器、家電製品などの製品供給にまで影響を及ぼすようになった。
強いサプライチェーンを持つApple社も例外ではない。第2四半期、前期比36%の増収となったApple社も、7月時点で半導体不足の影響を予測しており、実際に第3四半期の売上総利益は前期を下回った。米Bloomberg紙によると、同社は9月末に発表した新製品(iPhone13シリーズやiPad、MacBookなど)の減産も視野に入れているという。
任天堂は2022年3月期におけるNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)の生産台数が予定より2割少なくなると予想しており、ソニーはPlayStation 5の品薄状態について半導体不足の影響が出ていることを認めている。