7日、小池百合子・東京都知事は東京都議会本会議で、22年度内にLGBTQなど性的少数者のカップルを公的に認める同性パートナーシップ制度の導入を発表した。今年度中に、制度の基本的な考え方などをまとめる方針だ。
東京都は、これまでも同制度の導入に向けた動きを見せてきたが、導入時期を明言したのは初めてとなる。
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重要な理由
本制度の導入によって、同性カップルの制度的扱いなどに変化が生じることが期待される。
同性パートナーをめぐっては、同性であることを理由に都営・区営住宅の入居拒否や病院における面会謝絶などの問題が生じてきた。本制度のない自治体では、同性パートナーをめぐる対応が各機関に一任されており、法的な「家族」として認められていないことを理由に、異性間パートナーとの間で扱いに差異が生じている問題ある。
本制度により、今まで各機関に一任されていた判断を東京都が担うこととなり、都営住宅への入居のほか、都立病院での面会や手術の同意などに際して、同性カップルも法律上の婚姻関係にある夫婦と同じような待遇が可能となる見込みだ。
しかしながら、同制度が同性パートナーシップに法的効力を与える制度ではないことには注意が必要だ。同性パートナーシップ制度は近年拡大を見せているものの、法律上の婚姻関係にある夫婦と同等の法的効力は持っておらず、健康保険の被扶養者や子どもの共同親権、所得税の配偶者控除などは受けられていない。
とはいえ、本制度の導入・拡大が同性パートナーの生きづらさ解消や問題の認知拡大に繋がり、今後の法的位置付けを得るための前向きな1歩という見方もあり、東京都の導入もそうした流れの1つに位置付けることができる。
背景
東京都は今年10月から、都民数万人を対象として性的少数者の認知や必要な支援策などを問うインターネット上のアンケート調査を開始していた。小池都知事は「回答者の約7割が、必要な支援策として同性パートナーシップ制度の導入を挙げていた」と説明し、制度導入の後押しになったことを明らかにしている。
同性パートナーシップ制度をめぐっては、2021年3月に当事者団体「東京都にパートナーシップ制度を求める会」が小池都知事に署名を提出して以来、導入に向けた動きが進んでいた。同署名は都議会にも提出され、5月31日の総務委員会で趣旨採択された。6月2日の代表質問では、小池都知事が導入の意向を示し、同月7日には都議会本会議でも制度導入の請願を全会一致で趣旨採択していた。
東京都内では、渋谷区を皮切りに世田谷区や国立市など12の自治体がすでに同制度を導入している。全国的には130を超える自治体が、そして都道府県レベルでは茨城県、群馬県、三重県、大阪府、佐賀県の5府県が導入している。