⏩ 秋までは助成適用により、値上げ回避の見通し
⏩ ただ10月には助成終了の見込み
⏩ 長期では、燃料価格の推移が鍵
5月19日、政府は電力各社からの電気料金(規制料金)の値上げ申請を認可した。この決定によって、6月1日から電気料金の値上がりが拡大する。
電気料金には、政府によって上限が規制される「規制料金」と、事業者が自由に価格を設定できる「自由料金」の2種類が存在する。ロシアのウクライナ侵略によって燃料価格が大幅に上昇し、電力会社の経営を直撃した。特に影響が大きいのは、規制料金を提供している大手電力会社だ。
いくら燃料価格が高騰しても、規制料金は事業者の判断で値上げすることができない。その結果、大手電力会社の経営状態は急速に悪化。東京電力の2022年度経常損益は前年度比3,276億円減で、2,853億円の赤字となった。
深刻な経営への影響を受け、国内の大手電力10社のうち7社は、相次いで政府へ規制料金の値上げを申請した。そして、政府も各社による6月1日からの値上げを認める格好となった。
では、規制料金の値上げ認可を受け、電気料金はどれだけ上がるのか。そして、今後電気料金の高騰が終息する見込みはあるのだろうか。状況を整理してみたい。
規制料金はどれだけ上がるのか
日々の電気料金は、下の図にあるようにいくつかの要素で構成されている。
電気料金内訳のイメージ(資源エネルギー庁HPより, CC BY 4.0)
1つ目は基本料金で、これは契約容量によって電力使用量に関わらず、毎月定額が請求される。
2つ目は電力量料金で、これはさらに2つに分かれる。
1つは事前に決められた1kWhあたりの単価と電力使用量を掛け合わせて算出される料金だ。ここでは従量料金と呼ぶことにする。もう1つが燃料費調整額と呼ばれるものだ。これは、燃料(石油・石炭・LNG)の輸入価格(円建て)の変動に応じて、変動差額を料金に上乗せ、もしくは料金から差し引くものだ。
つまり、燃料の輸入価格が高騰すれば請求料金がプラスされ、逆に価格が落ち着けば請求料金からその分がマイナスされる。
そして最後の要素は、再エネ賦課金だ。これは再生可能エネルギーの促進を目的とした賦課金で、毎年、政府が決定した金額が全国一律で適用される。
従量料金が値上げ
今回の規制料金改定では、このうち従量料金が値上がりする。