⏩ 俳優組合と脚本家組合の同時ストで、ハリウッドが閉鎖状態
⏩ Netflix などの動画配信サービスと、AI 活用が争点
⏩ 長期化により映画・テレビ業界のコンテンツが不足する可能性
映画産業の中心地ハリウッドが、閉鎖状態にある。6万人以上の俳優が加盟するハリウッド最大の労働組合 SAG-AFTRA が、7月14日にストライキを開始したためだ。5月から続く全米脚本家組合(WGA)のストライキと合わせ、63年ぶりに2組合同時の大規模ストライキとなった。
ストライキ終息の目処は立っておらず、組合員が関わる映画やテレビ関連の動きがほぼ停止している。
なぜ今、ハリウッドでストライキが起きているのだろうか? そして、このストライキはどのような影響をもたらすのだろうか。
何が起こっているのか
現在ストライキを起こしているのは、俳優の労働組合 SAG-AFTRA と脚本家の労働組合 WGA の2つで、主な交渉相手は、大手映画スタジオや主要テレビ局などの製作者同盟 AMPTP だ。
俳優の労働組合による映画・テレビ出演のストライキは1980年以来43年ぶり、脚本家の労働組合によるストライキは2008年以来14年ぶりとなる。
1万1,000人の組合員を擁する WGA のストライキは、5月2日から続いていた。ストライキの理由について詳しくは後述するが、待遇改善や AI 活用における労働者の保護を求めるものだ。そこに全組合員数16万人、俳優だけでも6万人以上にのぼる SAG-AFTRA のストライキが重なったことで、歴史的な規模に発展した(*1)。 俳優たちの要求も、概ね脚本家と同じものだ。
(*1)SAG-AFTRA には司会者やアナウンサー、放送ジャーナリストらも加盟しているが、今回のストライキの影響を受けるのは映画・テレビ業界に関わる俳優約6万5,000人のみ。
きっかけ
SAG-AFTRA が参戦するきっかけとなったのは、映画・テレビ製作者同盟 AMPTP との新契約交渉だ。