⏩ 環境、経済、倫理面で問題が発生
⏩ 観光客だけでなく、観光地側に問題行為が見受けられるケースも
⏩ 突発的オーバーツーリズムへの対応も課題に
2023年8月24日、岸田総理大臣は訪問先の那覇市で、限度を超えた旅行客が訪れることによって生じるオーバーツーリズムへの対処が重要課題だという認識を示した。沖縄では、新型コロナウイルスの流行によって減っていた旅行客が回復しつつある一方で、観光客によって「自然が荒らされる」ことへの懸念も生じている。
沖縄に限らず、日本の観光地では観光客の増加によって生じるオーバーツーリズムの問題が浮上している。その背景にあるのは、インバウンド客(訪日外国人観光客)の増加だ。8月10日に中国政府が3年半ぶりに日本への団体旅行を解禁したこともあり、今後のインバウンド客数は増加すると予想される。実際に、8月21日には、観光庁の高橋一郎長官は訪日観光客の急増を受け、年内にも観光客数がコロナ前の水準に戻るという見通しを示している。
観光客数の増加は、新型コロナウイルスで大打撃を受けていた観光業に、ポジティブな影響を与えると期待されている。一方で、観光客の増加によって生じるオーバーツーリズムへの懸念もますます高まっている。
スペイン・マヨルカ島のビーチでは、地元の団体が「観光客の過密」を批判するため、「クラゲに注意」や「落石注意」などの偽の警告標識を次々と設置している。ビーチが閉鎖されているといったものや、実際はすぐ近くにもかかわらず、そこまで歩くのに約3時間かかるといった標識まである。
そもそもオーバーツーリズムとは、どのような現象を指すのだろうか。またオーバーツーリズムに対して、どのような対処をしていくべきなのだろうか。