⏩ 現在のパニックは誇張の可能性もあるが、過去20年で「世界的に復活」
⏩ 人の移動の増加と殺虫剤に対する抵抗力の獲得が主要因
⏩ 駆除と治療にかかるコストが懸念される
2023年9月から10月にかけて、フランスでトコジラミ(南京虫)を目撃したという情報が相次ぎ、政府が対応を迫られて「惨状」とまで言われる事態に発展している。トコジラミは、映画館や鉄道、シャルル・ド・ゴール空港などで目撃されているという。
高速鉄道 TGV でトコジラミを発見したとする目撃情報
10月3日のフランス議会では、野党のマチルド・パノ(Mathilde Panot)議員が、トコジラミが数匹入っているという小瓶を見せながら、政府が「何もしなかった」と非難したうえで「この小さな虫が私たちの国に絶望を広めています」と述べた。
こうした懸念の高まりから同国では10月6〜7日にかけて7つの学校が閉鎖されたほか、トコジラミを見つけ出すために訓練を受けた犬が配備されている。
トコジラミはカメムシの仲間で、コンテナや人間の荷物とともに移動し、クッションやマットレスなどの隙間に入り込む。噛まれるとかゆみを発症し、人によっては睡眠を阻害されることもある。
一連の騒動は、20世紀中頃に先進国ではほとんど見られなくなったはずのトコジラミが、再び姿を見せ始めている事象の一環だ。トコジラミに悩まされているのはパリが初めてではなく、2010年にはニューヨークでも蔓延し、Google のビルが一時的に閉鎖されたことがある。
フランスでは、2017年から2022年の間に、同国世帯の11%がトコジラミの被害にあったという。今回のフランスの報告を受けて、イギリスでもトコジラミの蔓延が「リアルな懸念材料」とされるなど、その脅威は広がりを見せている。
当初、ネット上で嘲笑の的になった話題は、政治的な論争にまで発展した。なぜ、いま世界でトコジラミが増加しているのだろうか。