⏩ 施行認可の法的プロセスは適切か?
⏩ 再開発は「民主的」に決まったのか?
⏩ イチョウ並木をはじめ樹木は守られるのか?
⏩ 神宮球場は取り壊しても良いのか?軟式野球場などの行方は?
前編記事では、各方面から批判が寄せられている神宮外苑の再開発について、計画の概要と発案された経緯を整理した。
今回の再開発は、神宮球場などを所有する明治神宮の財務問題などを背景に計画された。厳しい財務事情を抱える明治神宮の”稼ぎ頭”である神宮球場の老朽化が進むなか、明治神宮から未利用容積を移転した上で、神宮外苑の一角に高層ビルを建設し、これによって神宮球場の建て替え費用を捻出する。これが今回の再開発計画の肝となるスキームだ。
しかし、この計画は容易く実行できるものではない。まず、神宮外苑一帯は都市計画公園に指定されているため、高層ビルを建設するためにはこの指定を削除しなくてはならない。また今回の再開発では、現在の秩父宮ラグビー場と神宮球場の位置を入れ替え、双方を建て替える計画であるため、これまでの神宮外苑の姿は大きく変わる。さらに、神宮外苑内に多数ある樹木の一部も伐採・移植しなくてはいけない。
再開発の従前、従後のイメージ(東京都都市整備局)
そのため、今回の再開発をめぐっては各種の”犠牲”が発生していることも否めず、それらについて多数の批判が寄せられる事態にもなっている。
では、こうした批判の論点は一体どこにあるのか。ここでは、特に代表的な4つの側面に絞って、論点を整理していこう。