⏩ オスプレイ特有の航空モードに対するネガティブなイメージ
⏩ CV22オスプレイとMV22オスプレイで事故率に違いが
⏩ 日本側の検証を阻む日米地位協定の存在
11月29日、米空軍の CV22 オスプレイが鹿児島県の屋久島沖に墜落した。墜落した機体は8人の搭乗員を乗せて、山口県の岩国基地から沖縄県にある嘉手納基地に向けて飛行していた。12月12日までに7人の遺体が発見されており、残る乗員についても「生存が見込まれない」とされ、米軍は乗員全員の死亡を認定している。
米軍は、今回の事故を受けて、世界に配備している全種類のオスプレイの飛行を停止したと発表した。各種類のオスプレイの飛行停止は過去にも行われたことがあるが、全種類のオスプレイの停止は「極めて異例」だという。
日本では、米軍が運用している他の機体の事故と比べても、オスプレイの事故がメディアに大々的に扱われる傾向にあり、「日常茶飯事的に発生している些細な故障、予防着陸といった案件でさえ報道されている」とも言われる。また、キャスターの辛坊治郎氏は、オスプレイの危険性は「マスコミの誘導次第で、どうにでも受け取れてしまう」とさえ指摘する。
なぜオスプレイは事故が多いと言われ、物議を醸す存在なのだろうか。
オスプレイとは?
オスプレイとは、1980年代から開発が始まり、2007年に実戦に配備された「垂直離着陸能力」を持つ航空機だ。アメリカ合衆国のベル・ヘリコプター社と現ボーイング・ロータークラフト・システムズ(旧ボーイング・バートル)社が共同で開発した。
オスプレイ(FOX 52, CC BY-SA 4.0 DEED)
オスプレイが着目されている理由の一つは、その特殊な性能にある。オスプレイは、翼の先端にあるプロペラ部分の向きを変えることができ、飛行機とヘリコプターの両方の特性を持ち合わせている。プロペラ部分を上に向けるとヘリコプターのように垂直に離着陸ができ、前に向けると飛行機と同じように高速で飛ぶことができる。
そのため、飛行機の欠点である「離陸・着陸時に滑走路が必要なこと」や「空中で停止ができないこと」、ヘリコプターの欠点である「最大速力が遅いこと」や「航続可能距離が短いこと」を、プロペラ部分の構造によって解消することができる。これにより、人質救出作戦や、離島防衛などの緊急時などに活躍すると見込まれている。
オスプレイの事故が多いと言われる理由を理解するためには、3つの航空モードがあることと、2種類の機体があることを押さえておく必要がある。