⏩ 2023年「最大の犠牲者」と言われるほど業界は悲惨な状態に
⏩ クリエイターを「ツール」として捉える考え方が登場
⏩ 短期間での爆発的な成長を可能にする方程式とは
2024年1月23日(現地時間)、クリエイター向けの分析ツールである VidIQ が、クリエイター志望者向けにオンライン教育を提供するスタートアップ・Creator Now を買収すると報じられた。Creator Now は、チャンネル登録者1,480万人(*1)を誇る人気 YouTuber の Airrack が共同設立した会社だ。
これは、クリエイターエコノミーにとって最新の M&A となるが、パンデミック期に大きな注目を集めたクリエイターエコノミーは現在、大きな転換点を迎えている。
クリエイターエコノミーとは、YouTuber やインスタグラマー、ゲーム配信者などに限らず、アーティストやジャーナリストなど様々な個人クリエイターが自身のスキルによって収益化をおこなう経済圏のことを指す。
そこには、クリエイターが活動するプラットフォーム(YouTube やニュースレターの Substack など)の他、クリエイター用の収益管理ツールなど、継続的な活動支援ツールを提供する企業も含まれる。
パンデミックを契機に新しい経済圏として注目を浴びたクリエイターエコノミーだが、あっという間に窮地に立たされた。ここ1-2年の間、関連企業は相次いで人員削減をおこない、業界全体の資金調達も激減している。売却を検討するスタートアップが後を絶たず、「投げ売り」状態とも指摘された。
こうして勢いを失ったかに見えるクリエイターエコノミーについて、今後は形を変えて成長を続けると言われており、背後に「ツール」としてのクリエイターという考え方が台頭している。すでに、この考えを体現し、人気クリエイターをさらなる成功へと導く影の立役者も登場した。
かつてベンチャーキャピタルの寵児とも考えられていたクリエイターエコノミーは、なぜ期待外れに終わったのだろうか。そして、クリエイターエコノミーの向かう先はどこにあるのだろうか。
(*1)2024年1月24日現在
2023年「最大の犠牲者」に
そもそも、クリエイターエコノミーは2010年代にその存在感を高め、パンデミックがメディアやアーティストらに壊滅的な被害をもたらした時、ますます注目を集めた。実際、2021年上半期にはニュースレターの Substack やクリエイター支援の Patreon などが大手 VC からの資金調達を果たしている。
しかし、2022年頃からクリエイターエコノミーに暗雲が立ち込める。