⏩ 年齢問題が引き金だが、5年前にも同じ指摘。なぜ民主党エリートは現職に固執?
⏩ 6月の討論会後、党の重鎮や大口の寄付者から相次いで撤退圧力
⏩ トランプ陣営の計算ミスも示唆、ハリス氏で勝てるかが今後の論点に
2024年7月21日(現地時間)、アメリカのジョー・バイデン大統領が11月におこなわれる予定の大統領選挙から撤退することを表明した。自分の代わりとなる候補者として、副大統領のカマラ・ハリス氏を支持することも合わせて発表している。
現職の大統領が再選を目指さないという決断を下すことは稀であり、第二次大戦後で言えば、1952年のハリー・トルーマンと1968年のリンドン・ジョンソン以来だ(*1)。しかし、両名とも選挙日まで200日以上残した3月に撤退を表明した。その意味で、107日を残して撤退を明らかにしたバイデン大統領の決断は、「良い類似例」のない「大きな衝撃」だと言われる(太字は引用者による、以下同様)。
撤退の原因については、大統領の年齢に関する懸念が大きく取り沙汰されている。
しかしバイデン大統領の81歳という年齢は、昨日今日問題視され始めたわけではない。2020年の選挙戦の際にも「ジョー・バイデンは年を取りすぎているのか?」という報道やコラムが、複数のメディアで取り沙汰されている。
ここ数ヶ月、大統領の年齢に関わる懸念が民主党内や支持者の間で決定的に高まったことは事実だ。とはいえ、民主党は3月にバイデン大統領を候補者として指名しており、年齢の問題はありつつも、彼を撤退させることはしないと主張してきた。
なぜ今バイデン大統領は、選挙戦の撤退を決断することになったのだろうか。
(*1)歴史上で言えば、第11代大統領ジェームズ・ポーク、第15代大統領ジェームズ・ブキャナン、第19代大統領ラザフォード・ヘイズ、第30代大統領カルビン・クーリッジも2期目の選挙戦から撤退している。
なぜ、バイデンは撤退しなかったのか?
バイデン大統領の撤退を考えるためには、むしろ年齢問題があったにもかかわらず、なぜ民主党がバイデン大統領をここまで候補者として引っ張り続けたのか、を踏まえる必要がある。
これには大きく2つの理由があり、具体的には(1)民主党エリートの固執(2)他の選択肢がなかったことだ。