先日「トランプ2.0で何が変わるのか?」という(非常に素晴らしい)記事が公開されたが、その補足。すでに各紙でトランプ前大統領の勝利をめぐる分析記事は出ているし、自分がラジオ番組などで話した内容と一部重複するが、言及しきれなかったところもあるため、改めて個人的所感を整理しておく。
前提として、現時点で入手できるデータ・数字は不十分であり不完全だ。初期段階の分析は、ある程度の憶測に基づいて暫定的な答えとなりがちだが、速報性を重視するならばやむを得ない部分もある。
そのうえで、今回の選挙を一言でまとめるならば、共和党のナラティブ(≒権威・既得権益との闘い)が支持されつつ、民主党の主張が掘り崩されたようなイメージだ。その意味で、2016年にトランプ勝利が盛り上がった際の「忘れられた白人(ヒルビリー・エレジー的言説)」論や「米国の分断」論とは、完全に一線を画していたように思える。
一体、何が起こっていたのだろうか?
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出口調査の結果を見る限り、今回の投票行動は以下のようにまとめられる。
- トランプは女性(45%)よりも男性(55%)の支持を集めた。
- 若者(20代以下)や45歳未満はわずかにハリス氏を支持したが、45-64歳はトランプ氏を支持した。
- 黒人は大きくハリス支持に傾いたが、白人やその他の人種(黒人・アジア系・ラテンアメリカ系以外)はトランプ氏を支持した。
- 大卒以上はハリス、大卒未満はトランプを支持した。
この結果について、The Brookings Institution のウィリアム・A・ガルストンは、ラテン系およびアフリカ系アメリカ人、特に男性の間で支持を伸ばした共和党が、「多民族な労働者階級連合を形成」することに成功したと分析する。その意味で、今回の大統領選挙において、むしろ米国は「分断」ではなく