2020年11月におこなわれるアメリカ合衆国大統領選挙に向けて、ドナルド・トランプ大統領にとってネガティブな世論調査結果が報じられる中、大統領は2期目の意欲を失っているという報道が相次いでいる。
一体、何が起きているのだろうか?
今月29日、Fox Business Networkでシニア特派員を務めるチャールズ・ガスパリノ氏によって、トランプ大統領が今秋の大統領選からの撤退を示唆するような共和党関係者の証言が紹介され、話題を集めた。
トランプ大統領は「精神的に不安定な状態」
同氏は、「もし世論調査の結果が悪化し続けるならば、トランプ大統領は撤退する可能性がある」という証言に続いて、トランプ大統領の精神状態が「不安定」だとする指摘を紹介した上で、共和党が地滑り的大敗を恐れているという見解を示した。
同氏らによるFox Newsの記事によれば、新型コロナウィルス対策やジョージ・フロイドの死を受けたBlack Lives Matter(BLM)運動への対応に批判が集まる中、トランプ大統領の支持率は低下の一途を辿っている。
同ニュースの世論調査でも、民主党のジョー・バイデン候補がトランプ大統領を12ポイント上回っており、激戦州の多くをバイデンがリードし、テキサス州など共和党の牙城でも得票数が拮抗している戦況が明らかとなっている。
ただし記事では、2016年に数多くの世論調査でトランプ不利の情勢が出ていたにもかかわらず、ヒラリー・クリントン候補を破ったことを念頭に置き、「過去の選挙でも、彼は目立たない存在だった」と付け加えて、選挙までには時間があるためトランプが巻き返すだろうと指摘するロビイストらの声も紹介されている。
2期目への意欲減退?
米国の現職大統領が、1期で撤退すれば非常に珍しい事態だ。1976年のジェラルド・フォード、1980年のジミー・カーター、そして1992年のジョージ・H・W・ブッシュのように選挙で落選して2期を全うできなかった大統領は複数いるが、自ら選挙戦から撤退すれば1968年のリンドン・ジョンソン以来だ。
しかし、トランプ撤退の見解は決してガスパリノ氏固有のものではない。
今月25日におこなわれたタウン・ミーティングで、トランプ大統領は司会のショーン・ハニティ氏から、2期目の取り組みについて聞かれると、以下のように支離滅裂な回答を見せた。
経験という言葉はとても重要だ。とても重要な意味がある。私は大統領という仕事を経験したことも、ワシントンで寝たこともなかった。たった17回訪れただけだった。しかし突然、私はアメリカ合衆国の大統領になった。(略)私は、ニューヨークのマンハッタンから来て、いま私は誰もかも知っている。そして政権には素晴らしいスタッフが揃っている。