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納車台数を順調に伸ばしているNIOだが、未だ黒字化は達成できていない。また、先行するTesla社に追いつくことができるのか、大きく膨らんでいる投資家の期待に応えるだけの成長を見せることができるのかという点については疑問視する声もある。
現在は非常に好調のようにも見えるNIOだが、今後はどうなるのだろうか。
中国政府によるEV普及政策
まず、中国政府によるEV普及政策が、NIOの成長に大きく関わってくることは押さえておく必要があるだろう。中国政府は「2060年に二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロ」とすることを宣言しており、ガソリン・エンジン車から電気自動車への切り替えを進めるなど、再生可能エネルギー由来の電力利用の拡大推進は必至となっている。内容や規模に変更はあれど、今後も政府によるEV普及への支援は続く見込みだ。
議論の前提として、現在のEV普及政策を整理しておこう。中国中央政府の電気自動車普及のための主な政策には、以下のようなものがある。
1. ゼロエミッション車の義務化
中国の各自動車メーカーと輸入業者は、一定数のEVを製造または輸入することが義務付けられている。要求された割合を達成できなかった企業は、遵守した企業からクレジットを購入することができる。
2. 補助金
2022年を期限として、新エネルギー車への販売補助金が支給されている。補助金支給額は年度ごとに段階的に削減される。
補助金の金額は航続距離で異なり、1充電あたり400km以上の航続が可能なEVの場合、2020年度は2.5万元(約3,600ドル)の補助金を受けられた。
3. 免税
中国政府は電気自動車の消費税と売上税を免除しており、これにより購入者は数千ドルを節約できる。また、電気自動車の車両登録料の50%が免除される。
4. 政府によるEV購入
中国政府は、公共交通車両の電動化を積極的に推進している。2016年5月の命令では、中国中央政府が購入する新車の半分を5年以内に新エネルギー車にすることを義務づけている。