今月6日、憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案が、衆議院の憲法審査会で可決された。11日には衆議院本会議で採決され、自民党や立憲民主党などの賛成多数で可決される見通しだ。 一方、Twitterでは「#国民投票法改正案採決に反対します」というハッシュタグが出るなど、一部で同改正案への反対の声が挙がっている。
そもそも国民投票法改正案とはなんだろうか?反対派はどのような理由で反対しており、今回の改正案によって何が変わるのだろうか?
国民投票法改正案とは
国民投票法とは、正式名称が「日本国憲法の改正手続に関する法律」であり、憲法改正に必要な手続きである国民投票に関する規定を定めた法律だ。つまり、この法律が憲法改正に直接的な影響を与えるわけではなく、そのための手続きやルールを定めたものと言える。
憲法96条には、憲法改正について「各議院(衆議院・参議院)の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」と書かれているものの、具体的な手続きが示されていない。そこで、それらについて国民投票法が定めている関係になる。
たとえば、以下の項目が規定されている。
- 国会発議後は、60-180日間ほどの期間を経た後に国民投票を行う(2条)
- 投票権者は18歳以上の日本国民(3条)
- 在外邦人にも投票権はあり(62条)
- 投票用紙(縦書き)にあらかじめ印刷された「賛成」または「反対」の文字(いずれもルビ付き)のどちらかに○をつける方法で投票を実施(57条)
第1次安倍政権の2007年に成立されたもので、2014年には投票可能な年齢が(選挙と同様に)20歳以上から18歳以上へと引き下げられている。
何を改正?
では、今回改正されるのはどのような内容なのだろうか。端的にいうと、2016年に改正された公職選挙法の内容について、国民投票法にも適用するものだ。具体的には、以下の7項目となる。
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「選挙人名簿の閲覧制度」への一本化
= 選挙人名簿等の縦覧制度を廃止して、個人情報保護の観点から閲覧制度に一本化。 -
「出国時申請制度」の創設
= 国外居住の有権者が在外選挙制度を利用する際、出国後に日本の大使館・総領事館で申請する必要なく、市民課での転出届とともに在外選挙人名簿への登録申請を可能に。 -
「共通投票所制度」の創設
= 投票所をショッピングセンターなどに設けて、事前に決められた投票所以外でも投票可能に。 -
「期日前投票」の事由追加・弾力化
= 「天災または悪天候により投票所に到達することが困難であること」が期日前投票の理由に。また、期日前投票所の時間について、8:30から20:00から2時間の繰り上げ・繰り下げなど柔軟な対応が可能に。 -
「洋上投票」の対象拡大
= 漁業実習で遠洋航海中の水産高校などの生徒などについて、洋上投票が可能に -
「繰延投票」の期日の告示期限見直し
= 天災などで繰延投票をおこなう際、5日前の告示が求められていたが、2日に短縮することで、早期の投票結果が確定。例えば、投票日(10日)の前日(9日)に悪天候により投票不能が確実になった場合、その2日後(11日)には投票がおこなえる。 -
投票所へ入場可能な子供の範囲拡大
= 投票人が同伴できる子供の範囲が、幼児から児童・生徒その他の18歳未満の者に拡大。
つまり今回の改正案によって「駅や商業施設に投票所を設置したり、期日前投票の時間を柔軟に設定したり」できるようになる。