COVID-19 Vaccination Passport(Lukas) , Illustration by The HEADLINE

ワクチンパスポートは、どの国でどのように導入されているか?日本から海外への渡航は?

公開日 2021年07月02日 22:41,

更新日 2023年09月19日 16:33,

有料記事 / 社会

日本政府は先月25日、新型コロナウイルスのワクチン接種を証明する「ワクチンパスポート」について、7月中に交付手続きを開始することを明らかにした。日本で導入予定のワクチンパスポートは、海外へ渡航する旅券を持っている人を対象として、ワクチン接種をおこなった市町村が接種記録をもとに発行する仕組みだ。正式には「新型コロナウイルスワクチン接種証明書」と言う。

このようなワクチンパスポートは、世界各国でも続々と導入され始めている。世界経済フォーラム(WEF)がおこなった世論調査によると、78%の人びとがワクチンパスポートの利用に賛成だと回答しており、国際的にも支持を受けている

では現在、どの国がワクチンパスポートを導入しているのだろうか?また、ワクチンパスポートの普及を阻む要因は何だろうか?

日本

日本政府は7月下旬をめどに、ワクチンパスポートの発行を予定している。このワクチンパスポートには接種者の氏名・生年月日・旅券番号・接種を受けたワクチンの種類やメーカー・接種日が記載される。

当面は紙の書類で申請・発行される予定だが、今後はデジタル化も視野に入れているという。紙ではコピー防止機能がついた偽造防止用紙が使われ、デジタル化では2次元バーコードの発行や証明書アプリとの連携などが検討されている。発行手数料は、当面は国費でまかなう方針とされる。


ワクチンパスポートのイメージ(厚生労働省, CC BY 4.0

また経済団体連合会(経団連)は政府に対して、ワクチンパスポートを飲食代金の割引やイベントの人数制限の緩和につなげるなど、経済の活性化に向けて利用するべきと提言している。しかし政府は、接種を受けていない人が不利益を受ける可能性を鑑み、当面は国外渡航時の利用に限定する方針だ。そのため、ワクチンパスポートの交付請求には旅券の提示が必須となっている。

渡航先の一部国で隔離免除など予定

日本でワクチンパスポートを発行するメリットは、一部渡航先において隔離などが免除されることだ。具体的には、フランスやギリシャのようにワクチン接種証明書があれば日本からの隔離なしの入国を認めている国については、ワクチンパスポートの導入後にスムーズな入国が可能になる予定だ。スペインやイタリアも、ワクチン接種を条件とした受け入れを予定している。

ただし7月2日現在は、日本政府により各国への働きかけが進んでいる段階であり、日本のワクチンパスポートによって隔離免除となる国などは正式にアナウンスされていない。ワクチンパスポートの実現は両国の相互承認が原則となるため、各国との交渉にはしばらく時間がかかる見込みだ。

では世界各国の動きは、どのようになっているのだろうか。

アメリカ

アメリカでは、連邦政府としてワクチンパスポートは発行していない。バイデン政権は、民間団体がワクチンパスポートを発行することは認めているが、政府は関与しないと述べている。そのため、独自のワクチンパスポートを導入している州もある

導入している州

ニューヨーク州は、アメリカで初めてワクチンパスポートを導入した。IBM社と共同開発したシステムを利用して、「Excelsior Pass(エクセルシオールパス)」と呼ばれるワクチンパスポートを発行している。このシステムが公開された3月以来、100万以上のパスが発行されている。

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✍🏻 著者
リサーチャー
The HEADLINEリサーチャー。立教大学文学部文学科文芸思想専修所属。関心領域は文学、西洋哲学、人権・LGBTQ問題など。
編集長 / 早稲田大学招聘講師
1989年東京都生まれ。2015年、起業した会社を東証一部上場企業に売却後、2020年に本誌立ち上げ。早稲田大学政治学研究科 修士課程修了(政治学)。日テレ系『DayDay.』火曜日コメンテーターの他、『スッキリ』(月曜日)、Abema TV『ABEMAヒルズ』、現代ビジネス、TBS系『サンデー・ジャポン』などでもニュース解説。関心領域は、メディアや政治思想、近代東アジアなど。
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