2020年3月から、大手コーヒーチェーンのStarbucksでは「ソイミルク」に加え、「オーツミルク」と「アーモンドミルク」の植物性代替ミルク(以下、代替ミルク)を選択できるようになった。豆乳やココナッツミルクはこれまでもよく知られる「ミルク」の一種だったが、最近になって代替ミルクへの関心はますます高まっている。
この流れを受けて、代替ミルクの製造・販売を手がけるスウェーデン企業Oatly Group(以下、Oatly)は、今年5月にナスダックへの上場を果たしている。Oatlyは、Starbucksとオーツミルクに関する独占契約を結んでおり、それらは同社売上のうち27%を占めている。つまり、私たちがStarbucksで飲むオーツミルクは、すべてOatly社のものだ。
同社には、投資家としても知られるラッパーのJay-Zやナタリー・ポートマンなどが投資しており、海外セレブにも代替ミルクの愛飲者は多い。
なぜ、世界的に代替ミルクへの関心が高まっているのだろうか?そして、代替ミルクにはどのような利点と問題点があるのだろうか?
代替ミルクとは
代替ミルクとは植物を原料として作られたミルクのことで、動物由来の牛乳に代わって飲用されている。代替ミルクの種類は、豆乳・オーツミルク・アーモンドミルク・ココナッツミルク・ライスミルクなど多岐にわたる。
アーモンドミルクは12世紀のイタリア、豆乳は14世紀の中国、そしてココナッツミルクはココナッツと共に誕生し、いずれも長い歴史を誇っている。ただし全粒オート麦から生まれたオーツミルクは1994年に開発され、その開発者であるリカード・オステが創業したOatlyが大きなシェアを誇っている。
一口に代替ミルクといっても、商品ごとに栄養素や風味、濃度が異なるが、最近になって市場の注目を集めているアーモンドミルクやオーツミルクは「第3のミルク」と呼ばれることが多い。(第2のミルクは豆乳)
代替ミルクの市場規模
「第3のミルク」が人気を集めたことなどで、代替ミルクの売上は年々増加傾向にある。米国では、2018年から2020年までの2年間で代替ミルクの売上は27%増加し、2020年度の売上は25億ドル(約2840億円)に達した。