ロシアによるウクライナ侵攻がはじまった翌月となる今年3月、アルファベットの「Z」が侵攻を支持するシンボルとして急速に広まった。
ロシアの政治家たちはこぞって「Z」を使用し、市街地の車両や建物にもスプレーで「Z」が書かれるなど、同国内で拡散している。また国際的なスポーツシーンでは、ロシア出身選手がユニフォームに「Z」の文字を書いて表彰台に上がるなど、世界的にも大きな議論を呼んだ。
瞬く間にソーシャルメディアで拡散した「Z」というシンボル。一体何を意味し、国家や企業はどのように対応しているのだろうか?
ロシアのシンボル「Z」が意味するもの
「Z」が世界的に認知されるようになったのは、国際的な報道機関が一斉に報じ始めた3月上旬だ。当初、「Z」が意味するものについて正確な情報は出ておらず、その真意を巡って専門家やメディアによる議論が過熱した。
数字の「2」?
初期に議論に昇ったのは、この「Z」が数字の「2」を表している、具体的には数字の「2」が並ぶ2022年2月22日を意味しているという見方だ。
この日は、ロシアがウクライナ東部においてドネツク人民共和国およびルガンスク人民共和国を自称する勢力との間で「ロシア連邦とドネツク人民共和国との間の友好協力相互支援協定」などを批准した日であり、この日付から生まれたという推測だ。
ロシアにとっては、いわゆる「特別軍事作戦」を開始した重要な日であることから、侵攻のシンボルとなったとされる。
ロシア軍が自軍を識別するための標章?
戦地における軍事的な意味を持つのではないか、という仮説もあった。ロシア軍の装甲車両などに複数のタイプの「Z」マークが見られることから、軍内部で部隊を識別するために使われている、という見方だ。
ロシア軍の部隊間での連携が上手く取れていないという指摘がある中で、敵と味方を判別し自軍への誤った攻撃を避ける狙いがあるという意図が推測された。
「勝利」を意味する?
米・INSIDERは、人権と紛争解決を専門とするカミル・ガリーエフ(Kamil Galeev)氏が3月9日に投稿したツイートを引用して、「Z」が「勝利」を意味するロシア語の「za pobedy」、さらには「西」を表す「zapad」の略だとする推測を解説している。
ロシア軍の士気を高めつつ、ロシアの西側に位置するウクライナや「西側諸国」という明確な敵の存在を想起させることが目的だという。
77回目の戦勝記念日
以上のような解釈が乱立する中、4月になって「Z」の有力な解説が報じられた。