河野デジタル相は10月13日、2024年秋を目処に現行の保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体となるマイナ保険証に切り替えることを発表した。
日本では、国民に対して公的医療保険への加入を義務付ける、国民皆保険制度を採用している。義務を伴う保険制度とマイナンバーカードを紐づけ、現行の保険証を廃止してマイナ保険証に一本化する今回の発表は、マイナンバーカード取得の事実上の義務化として注目を集めるとともに、批判も生じている(*1)。
なぜ政府は、マイナ保険証の義務化に踏み切ったのだろうか?そもそもマイナ保険証とは、どのような制度なのだろうか?
(*1)批判の一例として、マイナンバーカードを取得していない(できない)人への対応が不透明という点が挙げられており、岸田首相は24日の国会答弁で対策について言及した。この点については後述する。
マイナ保険証の仕組み
まず、マイナ保険証という制度の仕組みから確認していこう。
マイナ保険証制度の正式名称は、マイナンバーカードの健康保険証利用だ。手続きの済んだマイナンバーカードのICチップ部分を、病院受付窓口に設置されたカードリーダーに読み込ませることで、ICチップに搭載された電子証明書を通じて、顔認証か暗証番号入力による本人確認ができる(いわゆるマイナ受付)。
つまり、従来は病院で保険証を掲示していたものがマイナンバーカードに代わり、対人での受け付けも必要なくなる仕組みだ。
マイナ保険証のメリット
厚生労働省は、マイナ保険証のメリットとして次の5点を紹介している。
- マイナ保険証に切り替えれば、紙の保険証を持ち歩く必要がなくなる。
- 窓口で支払う医療費が1ヵ月の上限額を超えた場合に適用される高額療養費制度について、従来であれば都度申請が必要だったが、マイナ保険証を利用した受診であれば不要となる。
- e-Taxと連携することで、確定申告時の医療費管理を簡略化することができる。
- 転勤や結婚などの転機に際して、切り替えや更新をせずに1枚のマイナンバーカードを保険証として利用し続けられる。
- 薬剤情報・特定健診情報が、患者の同意を得たうえで医療関係者に提供されることで、より良い医療を受けることができるようになる。
なぜマイナンバーカードは義務化?
では、マイナンバーカード取得はなぜ義務化されるのか?その理由は行政、国民生活、医療の3つの観点から説明できる。