カーボンプライシングの導入に向けた検討が加速している。カーボンプライシングとは、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量に応じて企業や個人に経済的な負担を求める制度だ。温室効果ガスの排出削減に経済的なインセンティブが生まれるため、気候変動対策としての期待が集まっている。
パリ協定での「1.5℃目標」(*1)が掲げられるなか、OECDや世界銀行をはじめ、多くの国際機関がカーボンプライシングを有効な政策手法と評価している。そして日本政府も今年10月、カーボンプライシングを導入するための議論を開始した。
気候変動対策が大きな国際問題となるなか、今後カーボンプライシングへの注目はますます高まっていくだろう。では、カーボンプライシングとは、そもそもどのような制度なのか。そして、カーボンプライシングにはどのような利点や課題があるのだろうか。
(*1)産業革命以前に比べて、世界の平均気温の上昇幅をできる限り1.5℃に抑える目標。目標達成には2030年までに2010年比でCO2を45%削減する必要があると試算されている。
カーボンプライシングとは何か?
具体的な制度や課題などを説明する前に、まずは「カーボンプライシング」という概念が一体何を指すのかを整理したい。