「カーボンニュートラル」や「ネットゼロ」という“脱炭素キーワード”が広く語られるようになって久しい。官民そろってカーボンニュートラル目標を宣言する動きが広がるなか、脱炭素キーワードはある種の常識となりつつある。
だが、カーボンニュートラルやネットゼロといった用語の定義や、厳密な意味の差異への理解は広がっていない。実際に、米国などでも「脱炭素キーワードの混同」がメディア等で多く指摘されている。
こうした曖昧な定義のまま広く世間で用いられる専門用語は「バズワード」とも呼ばれる。では、脱炭素キーワードの“バズワード化”を防ぐためには、一体どのようなことを理解する必要があるのだろうか。
カーボンニュートラルの定義とは何か?
まずは日本における代表的な脱炭素キーワードであるカーボンニュートラルについて、定義を整理しよう。
2020年10月に日本政府としてのカーボンニュートラル目標を宣言した菅義偉首相(当時)はカーボンニュートラル達成を「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と表現した。では、ここでいう「全体としてゼロにする」とは一体どのような含意があるのだろうか。