1. 原発業界のメーカー・技術者不足は深刻
2. 国民の理解を得る道筋も大きな課題
3. 最終処分場が未確定の状態も続く
⏩政府は安全かつ安価な次世代革新炉にも期待するが、コストダウンの必要性も
政府は昨年末、将来的な電源として原子力発電を最大限活用する方針を示した。2011年の東日本大震災以降、原発再稼働などに慎重な姿勢を採ってきた日本の政策は大きな転換点を迎えている。
岸田政権を「原発再推進」へと突き動かした背景には、ウクライナ侵攻にともなうエネルギー安全保障への懸念や、政府を挙げての脱炭素推進がある。原発を活用すれば化石燃料の利用・輸入に依存せず安定した発電が可能となる。国際的にも「原子力なしには脱炭素の実現は不可能」などと指摘する声は多い。
しかし、日本の原発産業を取り巻く状況はこの10年で大きく様変わりした。政府が「原発再推進」の旗印を掲げるだけでは、状況の変化は期待できない。
原発の再推進にあたり、今後クリアすべき課題は何だろうか?
既存の原発活用に向けた課題
原発再推進においてまず重要となるのは、廃炉が決定したものを除き国内各地に30基以上ある既存原発の活用だ。政府は昨年末の方針で、原発の運転可能期間を事実上延長することを示した。
しかし、既存原発の活用に向けて課題は山積している。