背景には、
⏩数年前の「バター不足」以来の設備投資
⏩コロナ禍による需要減退
⏩ウクライナ侵攻によるエサ代高騰
⏩肉用子牛価格の暴落
対策では、
⏩乳製品の輸入抑制策
⏩国産乳製品の需要促進
⏩輸入飼料への依存度低減
などが重要
日本の酪農業がかつてない危機に瀕している。2022年4月からの半年間で全国の酪農家戸数は推定3.4%減少しており、これまでを上回るペースで生産活動を停止(離農)する農家が増えている。
これまでも高齢化や後継ぎの不在を理由に離農する酪農家は多かった。しかし、今回の危機の様相はこれまでと異なる。
経営難を理由に離農を検討する中堅農家が増加しているのだ。北海道などでは20代の若い酪農家でも離農を決断するケースが出てきている。
「このままでは北海道の酪農はもたない」。ある大手酪農家は深刻な危機感を露わにする。このまま酪農家の離農が加速すれば、将来的な牛乳や乳製品の供給にも影響が出かねない。
では、なぜ日本の酪農業がいま深刻な経営難に陥っているのか。そして、中堅農家らの相次ぐ離農は、社会にどのような影響を与えるのだろうか。
酪農業とはどのような事業なのか?
現在の酪農危機の背景を知るために酪農業のビジネスモデルを簡単に説明しよう。
酪農家の2つの収入源
酪農家には大きく分けて2つの収入源がある。1つは牛から搾った生乳の販売、もう1つが母牛から生まれた子牛の販売だ。