⏩ 当初、寛容な姿勢だったバイデン政権が一転強硬な姿勢に
⏩ 背景には国家安全保障への懸念・大統領選挙を見据えた政治的思惑
⏩ 民主党には逆風となるのおそれも
3月15日(日本時間16日)付の The Wall Street Journal 紙によれば、米政府が動画投稿アプリ TikTok の売却を親会社である ByteDance に求めた。米政府は TikTok 側が要求に応じない場合、米国内での使用禁止に踏み切る可能性があると警告している。
TikTok に対してトランプ政権よりも寛容な姿勢を示していたはずのバイデン政権だが、なぜ強硬姿勢へと変化したのだろうか?
国家安全保障への懸念
TikTok をめぐってはこれまで、ユーザーのデータを収集し中国政府に譲り渡しているという懸念が存在し続けてきた。政府の端末にダウンロードした場合、機密情報が流出するおそれから、米政府は先月、公用端末からのアプリ削除を指示していた。
ホワイトハウスのカリーヌ・ジャン=ピエール報道官は先週、米国およびその国民の安全を脅かすような中国によるデータ利用を「懸念」しており、バイデン大統領も同じ認識だと伝えた。
政権で異なる対応
当初、TikTok に対する姿勢は、トランプ前大統領とバイデン現大統領で異なっていた。
2019年8月、トランプ氏は米国内での TikTok 使用を禁じる大統領令に署名した。一方のバイデン氏は2021年6月にその方針を転換、トランプ氏の大統領令を撤回していた。
ただ同時に、TikTokが米国の国家安全保障に脅威をもたらすかについて「証拠に基づくアプローチ」を用いて確認する必要があると述べていた。
なぜバイデン政権は対応を変化?
今回、バイデン政権はトランプ政権と同じく、TikTok への強硬な姿勢を見せるに至った。トランプ氏の大統領令を撤回し、TikTok に対する態度を軟化させたかに見えたバイデン政権は、なぜ態度を変化させたのだろうか?
バイデン政権の TikTok に対する姿勢の変化は、主に2つの点から説明されうる。ひとつは、数年にわたる調査・報道の結果が TikTok に対する懸念を強化したこと。もうひとつは、政治的な背景によるものだ。