⏩ 「チャレンジ」で知られる巨額の不正会計問題
⏩ 原子力関連事業の失敗による1兆円規模の損失
⏩ 物言う株主の参画による混乱
TOBの見通しも合わせて解説 💡
東芝は2023年3月23日、日本産業パートナーズ(JIP)などの連合による買収提案を受け入れることを取締役会で決議した。TOBが成立すれば、東芝は株式非公開化で上場廃止となる。
かつては総合電機メーカーとして世界市場を席捲した東芝だが、相次ぐ不祥事や経営再建の過程で起きた混乱を経て、1949年から74年間守ってきた上場会社の地位を手放す選択を取ることとなった。
なぜ東芝は、ここまで凋落することとなったのだろうか?
東芝、国内連合によるTOBに合意
東芝は23日、JIPをはじめとする国内企業を中心とした企業群の買収提案を受け入れることを発表した。JIPが7月下旬をめどにTOB(株式公開買い付け)を実施する予定で、TOB価格は1株4,620円、買収額は約2兆円となる。
JIPとは、日本産業パートナーズの略称で、企業の事業再編を支援する投資ファンドだ。2002年にみずほ証券やNTTデータが、企業の事業再編を支援するために立ち上げた。大企業から事業を切り出す「カーブアウト」に強みを持ち、ソニーやオリンパスなどの事業再編に携わったことで知られる。
事業再編支援のための連合には、オリックスや中部電力などの国内企業のほか、国内外の金融機関や事業会社などが参画しているという。
今回の買収・非上場化の目的は、東芝の経営の安定化を図ることだ。東芝では2017年以降の経営再建の過程で多くのアクティビスト(いわゆる「物言う株主」)が参画し、株主の意向で経営戦略が左右される状況が続いていた。そこで、買収によって株主をJIP連合に一本化し、意思決定を速めて経営改革を進める狙いがある。
東芝の再編では近年、グループの分割案や複数のファンドからの買収案など、さまざまな事業再建案が公開されていたものの、紆余曲折があり、見通しが立たない状態が続いていた。今回の決定によって、同プロジェクトはひとつの大きな節目を迎えたかたちだ。
なぜ東芝は凋落したのか?
かつては総合電機メーカーとして世界市場を席捲した東芝だが、近年は多くの事業分野から撤退し、上述のように国内外のファンドによる買収劇の舞台となるなど、混迷を極めていた。
なぜ東芝はここまで凋落したのだろうか。その背景には、次の3つの大きな転換点がある。