①町村部などでの人口減少
②議員報酬などの低さ
③住民の関心低下
④区割りなどの選挙制度
など。議員報酬の改善や、選挙制度改革が求められる
今月、4年に1度の第20回統一地方選挙(*1)が投開票を迎える。
今月9日には道府県と政令指定都市の首長および議会議員選挙が、同23日には政令指定都市以外の市町村で首長および議会議員選挙が投開票となる。
全国各地の首長や地方議会議員が一斉に改選となる統一地方選挙だが、近年関心を集めているのが無投票当選の増加だ。公職選挙法第100条では選挙の立候補者が定数を超えない場合は投票を実施しないとされており、地方議会選挙などでは議員のなり手不足による無投票当選が増加傾向にある。
今回の統一地方選挙でも、すでに告示された41の道府県議会議員選挙で、全国939の選挙区のうち4割近くにあたる348選挙区で、投票が実施されないことが確定している。
無投票当選の増加は、投票を通じた有権者の政治参加の機会を奪うだけでなく、当選した議員にとってもその後の政治活動を制約するリスクとなり得る。
では、なぜ地方議会で無投票当選が増加しているのか。そして、無投票当選の増加を食い止めるためには一体何が必要なのだろうか。
(*1)4年に1度、4月前後に全国の多くの地方自治体で、議会議員と首長の任期が満了となるため、各地の選挙期日を統一することで、投開票の円滑かつ効率的な執行や有権者への投票参加の効果的な呼びかけが期待される
統一地方選における無投票当選の現状
まず、直近の統一地方選挙(以下、統一地方選)における無投票当選の状況を整理してみよう。
2023年統一地方選における無投票当選
すでに触れたように、今回の統一地方選でも各地で無投票当選が頻発する公算が高まっている。
道府県議会議員選挙(以下、道府県議選)では、全国の約37%の選挙区で無投票当選が確定した。これを議員定数に換算すると、25%の議員が選挙戦を経ずに当選することになる。また政令指定都市の議会議員選挙でも、浜松市と堺市の合計2選挙区で無投票当選が確定している。
さらに懸念されるのは、今月23日に投開票が予定されている政令指定都市以外の市町村の議会議員選挙(以下、市町村議選)だ。これまでの統一地方選を振り返ると、市町村議選では高い確率で無投票当選が発生している(*2)。
(*2)市町村議選のほか、各自治体での首長選挙でも無投票当選は広く見られるが、ここでは特に地方議会議員選挙における無投票当選に焦点をあてる。
これまでの地方議会での無投票当選
直近、2019年の統一地方選における地方議会議員選挙の結果を見てみよう。
2019年の統一地方選では、各議会の改選定数のうち、都道府県議選で約27%、政令市以外の市議選で約3%、町村議選で約23%の候補者がそれぞれ無投票で当選している。ここから分かるように、特に都道府県議選、町村議選では無投票当選が発生しやすく、いずれの選挙でも20%以上の高い確率で無投票当選が発生している。
なかでも町村議選では、候補者数が定員に満たない定員割れも各地で発生している。前回の統一地方選では、北海道の興部(おこっぺ)町をはじめ、全国8町村議選で候補者が定員に満たなかった。
増加傾向にある無投票当選
こうした無投票当選は長期的な増加傾向にある。以下のグラフは、過去17回の統一地方選における都道府県議選と町村議選での無投票当選の割合(総定数に占める無投票当選者数の割合)を示したものだ。