⏩ 2010年代に関係強化も、2018年を境に亀裂
⏩ 米中冷戦や AI を背景に思惑が渦巻く中で再接近
⏩ マネーとモラルの両立が再び問われる?
シリコンバレーと中東が、関係を深めている。
2023年から2024年の初頭にかけて、OpenAI のサム・アルトマンCEO は中東を歴訪し、AI のトレーニングに必要なインフラ投資のため、資金調達交渉をしていた。
さらに2024年4月16日、Microsoft はアラブ首長国連邦(UAE)の AI 企業・G42 に対する15億ドル(約2,250億円)の投資を発表し、取締役会に加わる方針を示している。
左から Microsoft のブラッド・スミス社長、G42 会長のシェイク・タフヌーン・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン殿下、G42 の彭暁(Peng Xiao)CEO(G42 サイトより)
シリコンバレーを含む米国のテック業界は、2010年代にサウジアラビアをはじめとする中東諸国と密接な関係を築いていた。ところが、2018年を境に両者の関係には亀裂が入り、業界は中東との関係に口を閉ざすようになった。
それにもかかわらず、いま再び両者の間にはロマンスが訪れており、その蜜月ぶりを隠すことは無くなった。なぜ、中東とシリコンバレーは現在、再び関係を深めているのだろうか。
シリコンバレーと中東の関係史
シリコンバレーと中東の再接近について理解するためには、両者の関係について簡単な歴史をおさえる必要がある。