⏩ 生成 AI の学習に重大な役割を担う存在として台頭
⏩ 4種類のプレーヤーへの注目の背景には、政治的な理由も
⏩ アフリカやラテンアメリカでの人権侵害などに懸念が指摘
生成 AI を駆使したサービスが急速に浸透するなか、生成 AI の普及を支える裏方とも言える企業が注目を集めている。生成 AI の裏方として輝きを放つスターとしては、半導体メーカーの Nvidia があげられるだろう。
しかし、生成 AI 開発・普及の背後には、今後の成長が期待されている市場が他にも多数存在している。たとえば、生成 AI の学習において必要なデータラベリングの市場規模は、2030年までに150億ドル(約2兆3,000億円)に達するとも予測されている。また、従業員による生成 AI の使用をモニターするサービスの需要拡大も見込まれている。
では、なぜ生成 AI の裏方とも言える市場の成長が期待されているのだろうか。そして、どのような企業・サービスが注目を集めているのだろうか。
生成 AI の裏方とは何か?
前提として、生成 AI をめぐる市場には大きく分けて3種類のプレーヤーがいる。
1つ目は、生成 AI のモデルを開発するモデルプロバイダーだ。ここには生成 AI モデルを開発する、OpenAI や Google などの企業が含まれる。
2つ目のプレーヤーとして、これらのモデルプロバイダーが開発した生成 AI モデルをユーザー製品向けに実装するアプリケーション・プロバイダーがあげられる。プログラミング言語のサポートをする Replit や、マーケティング・広告に特化した AI アプリを提供する Typeface などはこれに該当する。
そして、生成 AI 市場におけるもう1つのプレーヤーが、インフラベンダーだ。これは生成 AI モデルのトレーニングや運用に必要なハードウェアやデータなどを提供する役割を担っており、Nvidia や Amazon(AWS) などが代表的な企業として知られている。
このうち、ユーザーによる生成 AI の利用と直接関わる、表の役割を担っているのは、前者2つだ。しかし、モデルプロバイダーとアプリケーションプロバイダーは、どちらも市場成長に大きなハードルがあるとも指摘されている。
生成 AI モデルは、開発が進んでいけば、いずれ性能が均衡する可能性が高い。アプリケーションについても、プロバイダー各社はサービス基盤となる生成 AI モデルを他社と共有しているケースが多いため、差別化を図りにくいとも言われる。
一方のインフラベンダーは、ユーザーの利用には直接関係しない裏方であるものの、各種プロバイダーやユーザーなどが生成 AI の学習やファインチューニング(*1)を実施する上で、不可欠なサービスを提供する存在だ。そのため、前述した3つのプレーヤーのなかでも、特にインフラベンダーをめぐる市場に期待が集まっている。
(*1)既に学習済みの AI モデルについて、特定のタスクやデータセットに合わせて微調整を行う手法。
4種類のプレーヤー
生成 AI の成長を支える裏方には、大きく4種類のプレーヤーがいる。