⏩ 賛同者目立つもリベラルは強固、実態はトランプタブー視の溶解か
⏩ バイデン政権の規制、暗号資産敵視、富裕層課税、リベラルカルチャーに不満
⏩ VC 出身の副大統領候補・JDバンスにも期待
ドナルド・トランプ前大統領は、シリコンバレーで忌み嫌われる存在だった。
2016年、シリコンバレーのエリートたちがおこなった政治献金のうち、実に 99% がヒラリー・クリントン氏にわたっていた。2020年、彼らはトランプ氏を倒すために、前回より多くの資金を費やした。
にもかかわらず、2024年の選挙は異なる様相を呈している。
7月13日、トランプ氏が演説中に銃撃される事件が起きた後、イーロン・マスク氏は X に「私はトランプ大統領を全面的に支持し、彼の早期回復を願っています」と投稿した(太字は引用者による、以下同様)。同月16日、Wall Street Journal 紙は、マスク氏がトランプ氏の選挙戦を支援する特別政治活動委員会(スーパーPAC)に毎月4,500万ドル(約71億円)を献金する計画だと報じた(*1)。
この他、著名VC・Andreessen Horowitz(a16z)のマーク・アンドリーセン氏とベン・ホロウィッツ氏も、トランプ氏への支持を公表している。7月17日に公開された Podcast シリーズ・The Ben & Marc Show の中で、アンドリーセン氏はこれまで、ビル・クリントン、アル・ゴア、ジョン・ケリー、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントンを支持してきたというが、今はもはや民主党に忠誠を誓っていないと語った。
こうした動きを受けて、「シリコンバレーの VC の一部はより保守的になりつつある」と報じられたり、「シリコンバレーは2024年に MAGA へ全面移行」と報じられている(MAGA とは、Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)というスローガンの略で、トランプ支持者を意味する場合もある)。
リベラルな振る舞いが要求され、実際に民主党支持層が圧倒的だったはずのシリコンバレーで、なぜトランプ支持が流行しているのだろうか。
(*1)マスク氏は、この報道について「フェイク・ヌース」(Fake Gnus)と書かれたミームを投稿している。同氏は後日、「いくらか献金」していることは認めたが、詳細は明かしておらず、報道されているよりも少ない金額だとした。