今年7月、中国の鄭州市で292人が犠牲となる大規模な洪水が起こった。この洪水の原因となった雨は、わずか3日で約1年分の降水量が観測された記録的な豪雨とされている。
しかし鄭州市では、中国で増加する洪水の対策として「スポンジ都市」が建設されていた。今回の記録的な豪雨は、このシステムをも凌駕する規模であったとされている。
鄭州市をはじめとした中国30の都市で採用されているスポンジ都市とはどのようなものだろうか?そしてなぜ、鄭州市の洪水災害は防ぐことができなかったのだろうか?
スポンジ都市とは
スポンジ都市は、北京大学教授の兪孔堅(ユー・コンジエン)氏によって開発された、自然の力を利用する洪水防止システムである。2015年から導入され始めたこのシステムは「洪水は恐れるものではなく受け入れるもの」という兪氏のコンセプトのもと、自然の力で雨を吸収し、地表への流出を防ぐ方法を取っている。
このシステムでは、以下の3つの方法が取られている。