米GoogleのCEOスンダー・ピチャイ氏は今月7日、日本における同社事業に2024年までに1000億円を投資する計画を発表した。同氏は岸田文雄首相と官邸で面会し、国内のデジタルインフラ開発やリスキリング(学び直し)などの人材育成を通して、日本のデジタル化を後押しする「長期的なパートナーでありたい」と言う方針を説明した。
また、ピチャイ氏は来日中に、同社Pixelシリーズをはじめとしたハードウェア製品の旗艦店を日本にも出したいという意向を語った。
Googleは、どのような理由から日本への巨額の投資に踏み切ったのだろうか?また、この1,000億円はどのような形で活用されるのだろうか?
1,000億円の投資先
1,000億円規模の投資予算は、主に日本のネットワークインフラ開発と、日本企業における人材育成等のデジタル変革支援に充てられる見込みだ。
日本のネットワークインフラへの投資
ピチャイ氏は同発表の中で、Googleが千葉県印西市に日本で初めてとなるデータセンターを開設する計画に言及した。同社はすでに世界で7億3,000万ドルをデータセンターに投資するという方針を明らかにしており、その一環である印西市のデータセンターは2023年のオープンを予定している。
印西市のデータセンターには、カナダ・バンクーバーから茨城県および三重県につながる海底ケーブル網 「Topaz」 が接続される。Googleはこれまでにも、海底ケーブル「Unity」(2010年運用開始)、「South-East Asia Japan Cable」(2013年運用開始)、「FASTER」(2016年運用開始)の開発にも投資しており、さらに日本とシンガポールやグアム、フィリピン、台湾、インドネシアを結ぶ海底ケーブル「Apricot」計画も発表している。北米とアジア圏をつなぐこれらのネットワークインフラは、通信速度の改善やコスト削減などを実現し、日本国内で大規模サービスを効率的に提供する基盤となる。
Analysys Masonの調査レポートによると、Googleによる日本のネットワークインフラへの投資は2026年までにおよそ74万人の雇用を生み出し、2022年から2026年の期間にGDPを3,030億ドル増加させる可能性を秘めている。