Microsoft は12月、ゲームソフトウェア開発会社 Activision Blizzard(以下、Activision)の買収計画をめぐり、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴された。米連邦取引委員会(FTC)は提訴の理由として、同買収計画は Microsoft が市場において不当な優位性を獲得し、競争を抑制する恐れがあるためだとしている。
2022年1月に発表された今回の買収計画における Activision の買収額は約690億ドル(約9兆4,000億円)となっており、2016年の Linkedin 買収額の262億ドルを超えた過去最大のものとなる。
Microsoft はクラウドゲーム市場をリードする企業だ。同社は2021年、ソニーとともにクラウドゲーム市場全体の収益のほぼ4分の3を占めたとされている。自社クラウド Microsoft Azure を保有するなど、クラウドゲームのためのインフラを抱えており、こうした背景から同社の買収は、クラウドゲーム市場の競争環境に懸念をもたらしている。
なぜ Microsoft の買収は阻止されたのだろうか?今後のゲーム市場への影響としては何が考えられるだろうか?
買収計画と阻止の経緯
まず、今回の買収の経緯について見ていこう。
概要
Microsoft は2022年1月、「Call of Duty」等の人気タイトルを抱えるゲームソフトウェア開発会社 Activision の買収を発表した。
買収には「Call of Duty」「Candy Crush」「Overwatch」等のゲームタイトルが含まれる。特に「Call of Duty」は2021年時点で4億本の売り上げがあり、月間アクティブユーザーは810万人に上る人気タイトルだ。買収計画当初、これらの作品は Microsoft が展開するゲームプラットフォーム「Xbox Game Pass」に導入される予定だった。
Microsoft は近年、クラウドゲーミングサービスに積極投資している。同社はゲームプラットフォーム「Xbox Game Pass」を展開しており、会員数は約2,500万人に上る。今回の買収計画により、Activision の人気タイトルを支持するファンベースを獲得できることから、Microsoft はソニーや中国テクノロジー大手の Tencent(テンセント)に次ぐ世界第3位のゲーム会社となることが見込まれていた。
米連邦取引委員会の阻止理由
FTC は、買収阻止の主な理由として以下の点を挙げている。