⏩ iPhoneはスマホ市場で好調、次なる軸としてXR市場参入を推進
⏩ 技術的課題やプライバシー問題により遅れが発生
XR(*1)を活用した体験は、ゲームやSNSを通して日常生活に浸透し始めた。この領域で覇権を握るべく、世界の大手テック企業が動いている。
現状、ビッグテックの中では Meta と Microsoft が存在感を放っているが、今後が注目されているのが Apple だ。同社はAR中心に開発やサービス展開を進めており、今年中に MRヘッドセットの発売も予定されている。
Apple といえばiPhoneシリーズが好調で、昨年には米国内スマートフォンシェア率が50%を超え、Androidを抑えてトップとなった。同年4月の調査では、世界全体の販売台数ランキングの1位から4位までをiPhoneシリーズが占めている。
そんな同社が、いま XR に乗り出そうとしているのはなぜだろうか?
(*1)XR(クロスリアリティ):現実世界と仮想世界を融合するテクノロジーの総称。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)を含む。
Apple社の取り組み
Apple は2016年頃から、ARへの取り組みを強化してきた。ティム・クックCEOは、「ARは本当に素晴らしく、多くのビジネスの可能性を秘めている」と、AR への期待を公言している。
これまでの大きな動きを振り返ってみよう。
関連企業の買収
過去5年間にわたって Apple は、AR分野に特化した技術や人材を獲得するための企業買収に力を入れてきた。
たとえば2015年には、ドイツのAR技術開発企業 Metaio を買収している。当時、同社の技術をどのように活用していくのかは明らかにされなかったが、Apple に名義変更された特許を用いて、iPad の AR デバイス化を進めているとの見方もある。
ハードウェア開発においては、AR ヘッドセットを手掛けるカナダのスタートアップ Vrvana や、AR グラス用のレンズを開発する米国企業 Akonia Holographics を買収した。
知的財産を巡って係争が続いていた半導体大手の Qualcomm と和解したのも、AR用端末の展開を見据えてのことだと考えられている。
AR体験を可能にする「ARKit」
現時点での特筆すべき成果としては、2017年にリリースされた iOS 対応の AR フレームワーク「ARKit」が挙げられる。昨年6月には約1年ぶりのアップデートが実施され、4Kビデオ対応の ARKit 6 が登場した。