⏩ 英国は1998年以来、化粧品用の動物実験を禁止
⏩ 2019年に政府がその方針を「密かに」放棄
⏩ EUに歩調を合わせるためだったと説明
⏩ 労働者のリスク評価が目的、消費者用の実験は依然禁止
動物実験と言うと、医薬品開発などのイメージが強いように思われるが、化粧品などの開発および安全性の評価の際にもおこなわれる。マウスやウサギをはじめ、犬、猫、魚など、毎年世界でおよそ50万頭の動物が化粧品の実験に使われているという。
ヨーロッパを筆頭に、世界では、動物に苦痛を与えないようにする「アニマルウェルフェア」(動物福祉)と呼ばれる取り組みが展開されている。日本でも先月、大手精密機器メーカーの島津製作所が、ウサギを使った実験をなくしていく方針を明らかにした。
その最中、1998年以来、世界に先駆けて化粧品用の動物実験を禁止してきたイギリスで、それが再開されるかもしれない、という懸念が高まっている。今月上旬、同国の裁判所が、政府による動物実験の禁止政策の変更は合法だとする判断を示し、一部企業や団体などから落胆の声が聞かれた。
イギリス政府は、なぜ動物実験の禁止政策を転換したのだろうか?