⏩ 核融合スタートアップと世界初の商業契約
⏩ AI、量子コンピュータを支える土台として期待
⏩ 契約のスケジュールには、懐疑的な見方も
⏩ 他のテック界の巨人たちも核融合に熱視線
AI 競争で輝きを放っている Microsoft が次なる賭けに出た。ターゲットは核融合発電だ。
今月10日、アメリカの核融合スタートアップ Helion Energy(以下、Helion)は、同社で発電した電力を Microsoft に供給する契約を結んだと発表した。この契約は「世界初の核融合発電によるエネルギー購入契約」だとされ、Helion は、2028年までに核融合発電所の稼働開始を目指す。
Helion を含めて、核融合からの発電に成功した例がない中で契約を交わしたとあって、Microsoft の動きはきわめて大胆だと言われる。
波に乗る Microsoft は、なぜ核融合発電を次のターゲットにしているのだろうか。
核融合発電とは何か?
核融合発電とは、太陽でエネルギーが作られる仕組みを地球上で再現し、莫大な量の電気をクリーンに発電する手法だ。
これが実用化することには、いくつかの利点がある。詳細は別記事に譲るが、核融合は石油やガスといった化石燃料を使うことも、有害な温室効果ガスを排出することもない。さらに、核融合で出る廃棄物の放射性レベルは、原子力発電から生まれるそれよりも低いという。くわえて、核融合実験のほとんどは安価に入手できる水素を利用しているため、むこう数百万年にわたって燃料を手にいれることが可能だと見られている。
しかし、核融合は1930年代にその理論が理解されて以降、世界中の研究者が地上での再現を目指してきたものの、いまだ実用化には至っていない。
この野心的なプロジェクトの先頭をひた走るのが、今回 Microsoft と契約を結んだ Helion Energy だ。