⏩ Twitter に不満を感じていたユーザーが一斉に移行し、ユーザーが急増
⏩ しかし、重要機能の不足によるユーザー離れなどで、エンゲージメントが停滞
⏩ アップデートで離脱ユーザーを引き戻せるかが課題
2023年7月10日、Meta のマーク・ザッカーバーグCEO は、6日にリリースしたソーシャルメディアアプリの Threads について「ユーザーが1億人を突破した」と発表した。
リリースから5日での1億人突破は、2ヶ月かかった ChatGPT の記録を更新し、史上最速となった。同氏は「これはほとんどオーガニック(*1)な流入で、大規模なプロモーションを投入したわけではない。まだ5日しか経っていないなんて信じられない!」と想像以上の反応に驚きを隠さなかった。
しかし、リリースから一週間ほどが経つと、ユーザー数と滞在時間に減少傾向が見られ始めた。Sensor Tower の発表によれば、12日と13日にはアクティブユーザー数が約20%減少(7月8日比)し、ユーザーの滞在時間も20分から10分へと50%減少したという。
新興ソーシャルメディアである Threads はなぜ急成長し、その後停滞したのだろうか。Threads 開発の背景やソーシャルメディアとしての特徴、現状、競合ソーシャルメディアの詳細などと合わせて見ていこう。
(*1)本来の意味から転じて、インターネット上において有料広告を介さず配信されるコンテンツを指す。
Threadsとは?
Mata が公開した Threads は、Twitter とよく似たソーシャルメディアアプリだ。
Threads開発の背景
Instagram の責任者であるアダム・モセリ氏によると、イーロン・マスクCEO の経営による Twitter の不安定さと予測不可能さが、開発のきっかけになったという。
2021年には世界で42億6,000万人以上がソーシャルメディアを利用しており、2027年には60億人近くまで増加すると予測されている。このような中、Twitter は月間アクティブユーザー数3億6,800万人を超える人気ソーシャルメディアだ。
しかし、昨年10月にマスク氏が Twitter を買収して以降、突然の有料サービス拡大やシステムの不安定さに対して、ユーザーの不満が募り始めた。直近では、日本時間1日午後10時ごろから各地で Twitter が使いづらい状態になったことが記憶に新しい。この危うさに目をつけた Meta は、3人のプロダクトマネージャーと3人のデザイナー、そして50人ほどのエンジニアからなる小さなチームを結成した。今年1月には既に開発に取り掛かっていたとされ、開発にかかった総時間はおよそ5か月と、スピード感を重視した開発であったことがうかがえる。
Meta の大胆な挑戦についてモセリ氏は、独特で強大なプラットフォームを築き上げた Twitter への挑戦はリスキーな試みであると語る。
Threadsの特徴
The Washington Post 紙が Threads について「キラキラした Instagram のボディースーツを着た Twitter だ」と評するように、Twitter とは機能が極めて類似している。
一方で、フォローフィードや投稿の編集機能、マルチアカウント機能など他のソーシャルメディアでは当たり前となったような機能が実装されていない課題もある。Threads はリリースまでのスピード感を重視して開発されたため、新機能の実装や細かなブラッシュアップは、今後の運用と同時進行でなされる見込みだ。
Threadsの現状
Threads は、ChatGPT よりも早くユーザー数1億人を達成し、投稿数は既に9,500万件を超える盛況ぶりだ。
一方で、Threads の長期的な人気については慎重に見る声もある。