⏩ 米国規制当局と契約を獲得
⏩ サプライチェーン内における強制労働を AI で検知
⏩ 企業のデータを取得せずに機械学習をおこなう技術で知的財産の課題をクリア
2023年7月20日(現地時間)、サプライチェーン・マッピングの AI スタートアップ Altana が、米国税関・国境警備局(CBP)との契約獲得を発表した。複数年の契約となっており、その規模は初年度で285万ドル(約4億円)相当、3年間で1000万ドル(約14億円)近くになるという。
ここ数年、世界ではサプライチェーンの強化や透明性の確保が求められてきた。背景にあるのは、米中間の貿易摩擦、中国の新疆ウイグル自治区における強制労働、新型コロナウイルスによるパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻などだ。
たとえば、AI ブームにより半導体チップへの需要は加速する一方だが、同時に地政学的なリスクからサプライチェーンの混乱を懸念する声も聞かれる。7月25日、対話型 AI の Claude を手がける Anthropic のダリオ・アモデイCEO は、米上院の委員会で、AI 開発を支えるハードウェアのサプライチェーン強化を促した。
また、台湾の半導体大手 TSMC は現在、日本で初めての工場を熊本県に建設中だが、背景には台湾有事への憂慮がある。
しかし、サプライチェーンの強化と可視化は注目を集めてきたものの、知的財産権などに関連する課題から、その実現に向けては距離があるとされていた。Altana はこうした課題を AI によって解決する見込みを示唆しており、注目の的になっているのだ。
サプライチェーンの脆弱性を解消し、「グローバリゼーションの新時代」に「信頼できるネットワーク」を構築すると謳う Altana とはどのような企業で、なぜ注目を浴びているのだろうか。
Altana とは?
Altana(同社HPより)
Altana は、AI を使用して世界のサプライチェーンの可視化に取り組むスタートアップだ。2018年に創業され、ニューヨークに拠点を構えている。エヴァン・スミスCEO 含む3人の創業者はいずれも、2018年初めに S&P Global へ売却されたサプライチェーン・プラットフォームである Panjiva に所属していた。